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国連人権理事会の特別報告者を正しく理解しよう

報告書の内容を精査して、寛容な対応を

伊藤和子(弁護士/国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長)

(構成・文/村山加津枝)

 ケイ氏の件で言えば、「なんでそんな奴の言うことを聞かなきゃいけないんだ!」というネットユーザーがいますが、報告書をすべて読んでいるのでしょうか? すでに外務省とメディア総合研究所から和訳が出ていますから、それを読み、具体的にどこに問題があるのか、きちんと語っていただきたいものです。そこから真の議論がはじまるでしょう。
 また、報道機関をはじめ「表現の自由」にかかわっている方々には、もっとこの報告にコミットメントして欲しいと思います。メディア全体でケイ氏の報告をどう受け止めるの、討議する議論の機会をオープンに持つことも大切だと思います。
 そして、日本だけが叩かれているという誤解を招くような報道は避けるべきです。対立軸を煽るだけの報道は、それを助長するばかりです。もっと対話を通して歩み寄り、良い方向に向かうことを期待したいです。
 最近、日本にいらっしゃる各国の外交官の方々とお話しする機会が増えました。その際、人権の話題になると、今回の一連の流れに対して非常に興味を持たれていると感じます。海外メディアでもいろいろ取り上げていましたが、それだけ日本の対応が特異だということでしょう。人権の問題はどの国でも起きていますから、こうした勧告を出す特別報告者に対して異議を唱える政府が他に存在しないとは言いませんが、日本政府の対応は民主主義国としてはあまりに子どもじみています。
 特別報告者は、国も人種も、宗教も習慣も違う何カ国もの国を訪れ、その先々で良い経験もすれば悪い経験もしています。そうした経験がベースにあってのアドバイスに耳を傾けてみることは、悪いことではないでしょう。
 寛容な対応こそが、国際社会における日本の評価につながりますし、国内の問題解決にもつながるはずです。そのためにも、特別報告者への正しい理解と、報告書の全文に目を通し、きちんと精査することが重要になります。

デイビッド・ケイ「表現の自由」国連報告者の
訪日報告書の和訳のサイト
(外部サイトに接続します)
〈外務省/未編集版・仮訳〉
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000262308.pdf

〈メディア総合研究所/暫定訳〉
http://www.mediasoken.org/upload/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%A0%B1%E5%91%8A%E4%BB%AE%E8%A8%B3.pdf

著者情報

弁護士/国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長

伊藤和子

いとう かずこ

1994年に弁護士登録(東京弁護士会所属)。以後、女性・子どもの人権、冤罪事件、環境・公害訴訟など、人権問題に取り組む。2004年ニューヨーク大学ロースクールに客員研究員として留学。05年ジュネーブの国連人権機関でインターン、06年に「ヒューマンライツ・ナウ」の立ち上げにかかわる。12年「ミモザの森法律事務所」を設立。著書に『人権は国境を越えて』(13年、岩波ジュニア新書)(2017.8)

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