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ルポ・混乱のベネズエラ

「変化」を待ち望む人びとの声

李真煕( ジャーナリスト)

 2月16日、首都カラカスで、グアイド氏らによる集会があった。アメリカなどから送られてくる人道支援物資を巡り、ベネズエラ国内に入り次第その分配をボランティアで手伝おうとする市民らが数千人規模で集まり連帯を確認した。
 集会の会場は、マドゥロ政権を果敢に批判してきた新聞社(El Nacional)の駐車場だ。医学生を中心に多くの学生らも駆けつけた。

人道支援のボランティアを誓う集会で話すフアン・グアイド国会議長=2月16日(李真煕撮影)

 ベネズエラ中央大学で学生運動グループの代表を務めるラファエラ・レケセンスさんの姿もあった。
 ラファエラさんはベネズエラの現状について「今この国で戦いが起きている」と表現した。グアイド国会議長については「学生運動出身者で、90年代以降、国民が一つになって支持できる初めての野党指導者」だとして、「そのことにありがたみを感じ、それぞれができることとしてボランティアを選んだ人びとが今日ここに結集した」と説明した。
「自由のある国。外出して生きて帰宅できるかどうかなんて若者が心配しなくてもいい国。子どもがゴミ箱から食べ物を探さなくていい国。外国に行かなくても必要な薬が手に入る国。そんな国に変わりたい」とラファエラさんは続けた。
「希望と信念を胸に今年(2019年)こそ大きな変化を成し遂げる。戦いに降伏することはありえない」と国内外に訴えている。

ベネズエラ中央大学の学生運動グループの代表を務めるラファエラ・レケセンスさん=2月16日(李真煕撮影・編集)

 カラカスでは治安の悪さを踏まえ、市民らが常に身の安全に神経をとがらせている。私は、高所得者層が多く暮らし比較的安全とされる地域にいるときでも、道で無防備にスマートフォンを取り出すな、夜間は決して出歩くな、と繰り返し助言を受けた。
 現地の大学生などからは、強盗に見つからないよう、下腹部にスマートフォンを隠して出歩くことを勧められた。

待ち望まれる「変化」

 ベネズエラで見えてきたのは、政治的混乱と連動する経済危機の中で、絶望に似た「諦め」と信念のような「希望」が混在する様子だ。
 かつて南米一先進的といわれた発展の勢いは見る影もない。カラカスの生活の質はラテンアメリカで最低と評されるまでになった。国内にとどまる人びとの我慢は限界に達している。グアイド派の市民の中には、事態を打開できるならアメリカの軍事力を借りてでもベネズエラに変化が訪れることを望む人もいる。

カラカス市内西部の様子。「チャベス万歳!!!」と落書きがある=2月18日(李真煕撮影)

 今回の取材では、多くの現地大学生らの声を聞いた。ある大学生はこう言った。「僕らは光を奪われ、青春を奪われ、未来を奪われ、安全を奪われた。だが決して奪われていないものがある。それは、希望だ」。
 別の大学生とのやりとりでハッとしたことがある。彼女らのアパートを訪れると、シンクに食後の食器が山積みに放置されていた。私は怠慢だった自分の学生時代を思い出し「早く洗わないとね」と言った。学生は一瞬の間を置き、答えた。
「水が出ないの」
 ベネズエラの状況は悲劇的な大詰めを迎えている。多くの人びとが「変化」を待ち望んでいる。

人道支援物資搬入のボランティア宣誓集会に入場するため並ぶ人びと。徐々に増えた人波は会場周辺の道路をふさいだ=2月16日、カラカス(李真煕撮影)


 南米の美しい国に平穏な暮らしが戻ることを願い、次の取材協力者らに特別の感謝の言葉を記したい。
Diana Carrero, Jhonny Farfan, Ixela Montilla, Elio González, Gabriela Sojo, Diego Sojo, Javier Sojo, Marcos Cardozo, Michelle Neto, Naoki Saito, Leonor Rodríguez Azócar, Angel Sanchez, Anderson Arrhedondök, Richard Sanchez, Chongju Park, Mohammed Rada Akil, Vincent Rosciano

著者情報

ジャーナリスト

李真煕

り まさひろ

1985年生まれ。三重県出身、那覇市在住。琉球新報記者を経て、2017年からフリージャーナリストとして活動を始める。

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