南北統一は本当に限界なのか――韓国と北朝鮮それぞれの視点から見る南北関係の現在
徐 韓国も分断80年を経て、朝鮮戦争に参加した人やそこで家族を失った人もどんどんいなくなり、今の時期を逃したら、南北関係のややこしい問題を解決しようとする政治家もいなくなってしまうかもしれません。だから、私は、李在明政権の5年というのが、南北関係の今後を左右する重大な時期になると見ています。
2000年に金大中と金正日が会ったとき、95.7%の人々がそれを支持していました。それから18年がたって、朴槿恵(パク・クネ)弾劾を機に、進歩派と保守派が完全に分かれてしまいましたが、それでも、文在寅と金正恩が会ったときには、進歩派も保守派も関係なく、8割以上がこれを支持していたんです。普段は表に見えないけれども、韓国人の心の底には「南北関係が変わってほしい」という熱い思いがあるわけですよ。そこにはまだ、私は希望が残っているのではないかと思います。
石丸 私たちアジアプレスは、北朝鮮内部とのラインがあって、日々やり取りをしていますので、これをしっかり維持して、北朝鮮の中の人たちと連帯したいという気持ちがあります。南北関係は厳しい状況にありますが、その中でも韓国・朝鮮の人たちが分断を乗り越えようと努力することへの共感を、日本社会の中でしっかりと伝えていきたいと思います。
著者情報
ジャーナリスト
徐台教
ソ・テギョ
1978年、群馬県生まれの在日コリアン三世。小学校は朝鮮学校、中学校・高校は公立学校で学び、1999年からソウル在住。韓国の高麗大学東洋史学科を卒業後、人権NGO代表や日本メディアの記者として朝鮮半島問題に関わる。2015年、韓国に「永住帰国」すると同時に独立。現在「コリア・フォーカス」編集長。主な取材テーマは、朝鮮半島の分断、南北関係、韓国政治など。Yahoo!ニュースや日本メディアへの寄稿・出演多数。ソウル外国人特派員協会(SFCC)正会員。2022年、「第七回鶴峰賞言論部門優秀賞」受賞。著書に『分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界』(集英社クリエイティブ)がある。
ジャーナリスト/アジアプレス
石丸次郎
いしまる じろう
1962年生まれ。韓国の延世大学などに語学留学。93年より始めた北朝鮮取材は国内に3回、朝中国境に約100回、1000人近い北朝鮮の人々に会う。2008年4月、北朝鮮在住者自らが取材した内容を中心にした雑誌「北朝鮮内部からの通信 リムジンガン」を創刊。著書に『北朝鮮難民』(講談社現代新書、2002年)『北のサラムたち』(インフォバーン、2002年)など。アジアプレス大阪事務所代表。
ノンフィクションライター
西岡研介
にしおか けんすけ
1967年、大阪市生まれ。1990年に同志社大学法学部を卒業。1991年に神戸新聞社へ入社。社会部記者として、阪神・淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件などを取材。 1998年に『噂の眞相』編集部に移籍。則定衛東京高等検察庁検事長のスキャンダル、森喜朗首相(当時)の買春検挙歴報道などをスクープ。編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞を2年連続で受賞した。その後、『週刊文春』『週刊現代』記者を経て現在はフリーランスの取材記者。2008年、著書『マングローブ――テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』で、第30回講談社ノンフィクション賞を受賞。ほかの著書に『スキャンダルを追え!――「噂の眞相」トップ屋稼業』(講談社)、『襲撃――中田カウスの1000日戦争』(朝日新聞出版)、『トラジャ JR「革マル」30年の呪縛、労組の終焉』(東洋経済新報社)などがある。