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一語千金

金融政策決定会合

[Bank of Japan Policy Board Meeting on Monetary Policy]
日本経済の舵取りを決める現場

玉手義朗(エコノミスト)

 金融政策決定会合のニュースでは、テーブルを囲んだ政策委員達の映像が流れる。日本の中央銀行である日本銀行から総裁と2人の副総裁、民間から選ばれた6人の審議委員の合計9人が、多数決で金融政策を決めるのだ。議決の際には総裁も1票を持つだけ、総裁の一存で、金融政策を決めることはできない。
 金融政策決定会合で決められるのが「政策金利」の水準だ。かつては公定歩合だったが、現在は「コールレート・翌日物」の金利を決めることになっている。これは、銀行同士が資金の貸し借りをする短期金融市場で、「今日借りて、翌日返す」場合の金利だ。日銀はこの金利を上下させることで、間接的に利息や貸出金利など、日本経済全体の金利を動かそうとする。
 金融政策を巡って、日銀と政府はしばしば対立する。「物価の番人」たる日銀は、景気よりも物価安定を優先させる。このため、物価を下げるが、景気にもマイナスに作用する政策金利の引き上げに積極的となる。
 一方政府は、景気が悪化すると、政権維持に支障を来すから、政策金利引き上げに神経をとがらせる。
 こうした対立は世界共通だが、中央銀行の金融政策は、政府の介入を受けないことも世界の常識。「財政が赤字なので、紙幣を増刷!」などといった、政府の身勝手な政策を阻止するのが狙いだ。従って、政府の意向で金融政策が決まるような国は「二流」と見なされ、その国の株価や為替相場の下落を引き起こすこともある。金融政策の独立性は、経済システムの健全性を示すバロメーターでもあるのだ。
 テレビで金融政策決定会合のニュースが流れたら、出席している人の数を数えて欲しい。座っているのは10人、11人の場合もある。実は財務省や内閣府など、政府からの出席者が加わっているのだ。
 しかし、立場はあくまでオブザーバー、意見は言えるが議決には参加出来ない。議決の延期を求める権利(議決延期請求権)が与えられてはいる。しかし、政策委員会が拒否すればおしまいという、さしたる効果を持たない権利である。
 原則として毎月1回開かれる金融政策決定会合。そこは、日本経済の舵(かじ)取りを巡る、政府と日銀の熾烈なバトルの場であり、経済政策が健全かどうかを読み取る場でもある。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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