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経済万華鏡

ギリシャの将来は鎖国通貨にありか?

浜矩子(同志社大学大学院ビジネス研究科教授)

 またまた、ギリシャが世間を騒がせていますね。財政難のギリシャは、2010年以来、一貫してユーロ圏の仲間たちやIMF(国際通貨基金)の金融支援を得てきました。その代償として、厳しい財政緊縮政策と経済の構造改変を迫られてきたのです。

 それはもうイヤだ。そう主張するチプラス新政権の発足で、支援継続を巡る議論が一気に緊迫化しました。結局、4カ月に限定した支援継続と、ギリシャによる新たな経済再建計画の提示で決着しました。ですが、これは単なる時間稼ぎです。問題の本質は何も変わってはいません。
 ただ、今回の騒動で、面白いことが改めてよく実感できた。筆者はそういう感想を抱きました。この問題を巡っては、誰もが、次のように言っていました。すなわち、もし交渉が決裂していたら、ギリシャはユーロ圏から出ていかなければならなかっただろう。筆者もそう考えてきました。
 この点について、なぜ、どうしてもそうならざるを得ないか、実に生々しく、その理由を確認できたと思うのです。

 ギリシャの経済実態が、ユーロ圏の平均値とかけ離れ過ぎている。だから、ギリシャはユーロ圏から出ていかなければならないのでしょうか。確かに、ユーロ圏内におけるギリシャの据わりの悪さは間違いありません。
 筆者は、かねてより、ギリシャはユーロ圏外に出た方が無理なく自国経済を運営できると考えてきました。そこに問題の根源があります。しかしながら、支援交渉の決裂がギリシャのユーロ圏離脱を必然化するのは、直接的にはこの問題によるわけではありません。
 支援打ち切りなら、ギリシャは確実にユーロ不足に陥るのです。物理的にカネが無くなるわけです。このところ、ギリシャの金融機関は預金引き出しラッシュに見舞われていました。その預金解約要求に応じるには、彼らはECB(欧州中央銀行)からの臨時融資を得なければならない状態におかれていました。交渉決裂なら、この融資も打ち切られていたところです。

 政府は、支援金無しには公務員に給料が払えません。むろん、借金も返せません。要は、ユーロがギリシャのちまたから消え失せることになるのです。そうなったら、おのずと、ギリシャはユーロ圏にはとどまれなくなります。
 今後、もし本当にそのような事態に直面した時、ギリシャはどうするでしょうか。とりあえず、国内限定流通の独自通貨を発行するしかないでしょう。鎖国通貨ですね。それで、果たしてやっていけるでしょうか。うまくいくようなら、面白いと思います。ひょっとするとそうなるかもしれません。
 いずれにせよ、今年の夏場には、また同じ状況に向き合うことになります。その時が怖い。そして面白い。コワオモシロイその時が、待たれます。

著者情報

同志社大学大学院ビジネス研究科教授

浜矩子

はま のりこ

1952年生まれ。一橋大学経済学部卒。三菱総合研究所ロンドン駐在員事務所長等を経て、現在に至る。『グローバル恐慌』『スラム化する日本経済』『ユニクロ型デフレと国家破産』『浜矩子の「新しい経済学」~グローバル市民主義の薦め~』など多数の著書がある。

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