新型コロナで学校がかつてない危機に 〜今こそ健康と教育の両立が必要
大内裕和(武蔵大学教授)
学習指導要領で定められた学習内容を無理に詰め込むのではなく、精選された学習内容をじっくり学べるようにすべきです。該当学年で学べなかった内容を次学年でも学べるようにするなど、複数年度に渡った長期的な視点でカリキュラムを組み替える準備も必要です。また、入学試験が無理な詰め込みを助長することのないよう、場合によっては高校入試や大学入試の出題範囲を限定することも、今から想定しておくべきでしょう。
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これまで述べてきたことは、21年9月時点での当面の対策です。20年3月のコロナ災害発生から、すでに1年半が経ちました。諸外国の様子を見ると、ワクチン接種が進んでも集団免疫の獲得は容易ではなく、コロナ災害がさらに長期化する可能性もあります。当面の対策に加えて、長期的な視点をもった対策も今から考えておく必要があると思います。その際には現在の困難が、これまでの政策の問題点や不十分さの結果であることを認識することが大切でしょう。
日本の学校教育におけるクラス人数の多さは、以前から大きな課題でした。少しずつ減ってはきたものの、「40人」を基本とするクラス人数では、対話やコミュニケーションを重視し、生徒一人ひとりとじっくり向き合う教育は困難です。「20人」を基本とする少人数クラスを実現していれば、40人クラスを2つに分割する分散登校は、そもそも必要ありませんでした。
また、PCR検査の不足はコロナ感染対策が始まって以来の問題でした。飛沫によって感染が広がることは当初から分かっていたのですから、教員と生徒全員がPCR検査を定期的に無料で実施できる体制を整えておくべきでした。それができていれば、ここまで子どもたちへの感染が広がっていなかったかも知れません。
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オンライン教育の準備も不十分だったと言わざるを得ません。情報化社会に向けて質の高いオンライン授業を実施するのであれば、学校の環境整備はもちろん、「義務教育は無償」の原則を適用して、少なくとも小・中学生については学習機材や通信環境が教科書と同じく無償で揃えられるようにしておくべきでした。また、高校生や大学生などが学習・研究を行うために必要な通信費についても、自己負担を可能な限りゼロに近づけておくべきだったでしょう。これらの準備が進められてこなかったことが、コロナ災害下でのオンライン教育の困難をもたらしているのです。
新型コロナの長期化によって、学校教育もかつてない危機にさらされています。この状況を乗り越えるためには、これまでの政策の問題点や不十分さを認識し、反省することが必要です。そして子どもたちの健康・生命と学習を両立させる当面の対策を実行し、長期的な視点をもった対策を検討することが、私たちに強く求められていると思います。