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新教科「情報」がもたらす激震 〜2025年から共通テストに導入か?

第25回

大内裕和(武蔵大学教授)

 大多数の高校が「情報A」を選択して「情報B」と「情報C」が選ばれない状況、特にプログラミングなど情報の科学的理解を深める「情報B」が選ばれない状況を是正したい文部科学省は、13年からの現行学習指導要領で「情報A」に当たる科目を廃止し、プログラミングなど科学的理解を重視する「情報の科学」と、情報社会へ参画する力を養う「社会と情報」の2科目を選択必履修科目としました。しかし、ここでもプログラミングを教える必要がない「社会と情報」の選択が約8割を占め、「情報の科学」は約2割にとどまりました。

 プログラミングを含む「情報の科学」を多くの高校が選ばなかったのも、それを教えられる教員が学校現場に少なかったからです。そして、そこには情報科の専任教育が現場で不足していることが影響しています。

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 22年度から実施される高等学校学習指導要領では、プログラミングや情報セキュリティを学ぶ「情報Ⅰ」が必修化されます。いよいよ高校でもプログラミング教育が必修となりますが、学校現場にはそれを教えることのできる教員が決して多くありません。これはどんな事態をもたらすでしょうか?

「情報Ⅰ」が必修化され、さらに共通テストに導入されれば、高校としては何としてもそれを教える必要が出てきます。学校現場ではプログラミングを教えられる教員は不足していますから、多くの高校は学外の資源に頼ることになるでしょう。例えばサブテキストとして市販の共通教材を導入したり、プログラミングを得意とする外部講師を高校に招いたりすることも考えられます。それらはプログラミング教育を教材化して売り込む企業や派遣会社などに利益をもたらす一方で、共通教材による情報教育の画一化を進め、学校ごとの多様で工夫をこらした教育実践を衰退させることにつながります。

 また生徒・保護者の側は、高校での情報教育に不十分さを感じれば「情報Ⅰ」やプログラミングを学ぶことのできる塾・予備校など教育産業に頼ることとなるでしょう。教育の市場化・商品化が促進され、それは出身階層による生徒の教育格差を拡大することになります。

 このように共通テストへの新教科「情報」の導入は、受験生の負担増、教育環境の不備や地域・学校間の格差による不公平、情報教育の画一化、教育の市場化・商品化促進など、さまざまな弊害をもたらす危険性があります。高校での教育や生徒に甚大な悪影響を与える事態は、避けなければなりません。慎重な検討を行い、拙速な導入は避けるべきだと考えます。

*「高等学校情報科における教科担任の現状」中山泰一ほか(情報処理学会論文誌「教育とコンピュータ」Vol. 3、 No. 2)

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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