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連載

日本の高等教育費に向けた提言を発表 〜将来進学を希望する全ての高校生に希望を

第40回

大内裕和(武蔵大学教授)

 そんな状況下で、高等教育の無償化に向けて普遍主義を今すぐ徹底することは困難です。大学等修学支援法を中間所得層まで拡大することによって、高等教育の学費が公的に支えられることの価値を認識する人々を増やしていくステップを踏むことが、将来の高等教育無償化実現へ向けて重要なことだと考えます。この提言2の「選別主義の改善」は提言1の「普遍主義的支援」とセットで提案されていますから、全体としては分断を生み出さない工夫もしています。

 支援対象を標準世帯(4人世帯)年収600万円まで拡大することの根拠は、本連載「生活保護世帯の大学進学はなぜ反対される?」ですでに論じました。家族3人暮らしで子ども1人を大学に通わせるには、どんなに生活水準を落としても年間約600万円必要です。言い換えれば、年収600万円の世帯が大学生1人を養うと、生活保護なみの暮らししかできないことを意味します。この状況を考えれば、年収600万円世帯まで支援を拡大することは必要でしょう。

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 この提言1と2に加え、提言3〜5は奨学金制度の改善、提言6と7は職業訓練への公的支援の充実をうたっています。詳しくは中央労福協のプレスリリース「高等教育費の漸進的無償化と負担軽減に向けて 中央労福協の研究会が政策提言を発表」をぜひお読みください。

 3月8日の文科省記者クラブでの記者会見はテレビ、新聞など数多くのメディアで報道され大きな注目を集めました。それは、高等教育の学費や奨学金への社会的関心が、これまで以上に高まっていることを意味しています。「高等教育費の漸進的無償化と負担軽減へ向けての政策提言」は、高等教育進学率80%時代において、すべての若者が安心して学べることを目指した提言です。この提言を1人でも多くの人に知っていただき、実現へ向けて努力を開始したいと考えています。

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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