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連載

少女を追い詰めた責任はどこにあるのか?

"ここがおかしい"

仁藤夢乃(社会活動家)

アイドルに憧れて追い詰められる少女たち

 2018年3月、某地方アイドルグループのメンバーとして活動していた大本萌景(ほのか)さんが自殺した。今回の“ここがおかしい”は、彼女の死が数あるニュースの中の一つとして流れていくのが嫌で書くことにした。

 新聞報道によると、大本さん(享年16歳)は以下のような会社側の行為によって自殺に追い込まれた、と遺族が訴えているそうだ。

「未成年の大本さんを早朝から深夜まで拘束する過密スケジュールで働かせ、学業より仕事を優先するよう強要した▽脱退の希望を伝えると『次また寝ぼけた事言い出したらマジでブン殴る』というメッセージをLINE(ライン)で送るなど、パワハラを重ねた▽通信制高校から全日制高校への転学費用を貸し付ける約束を実行しなかった」(朝日新聞デジタル、18年10月12日)

 私は、アイドルに憧れて、月2、3万円程の給料で大本さんと同じような生活を、中高時代に強いられた子たちをたくさん知っている。まだ中学生なのに早朝から深夜まで、レッスンという名目でほぼ無給で拘束され、学校に行かせてもらえなかったり、レッスン中は自由にトイレに行くことも許されなかったり、体調不良の正規メンバーの代打として「翌朝までに覚えろ」と深夜に会社から連絡があって、寝ずに振りや立ち位置を覚えさせられたり……。
 それこそ追い詰められてしまうんじゃないかと、心配したことも数知れない。

孤立させ、信じさせ、搾取している

 泣きながら他のメンバーと競わされ、支配された少女たちも知っている。それを美談にすることでしか、自分を保てなくなった女の子もいる。

 ある中学生の女の子は「雑誌の仕事が入った」と言われて喜んで撮影現場に行くと、胸や体のラインを強調した服を着ることを強要され、「嫌だったけど断れなかった」と泣いていた。撮影に関わる大人たちが「嫌だ」と言えない状況を作り、彼女の意思に反して撮影は続いたという。彼らは「このくらいできて当然」「気にする方がおかしい」といったオーラを出し、「断れば、干されて仕事がもらえなくなる」と子どもたちに思わせる。

 家族や友人など状況を心配した周囲の人が声を掛けても、「芸能界はそういうもの」「夢を叶えるには必要なこと」「このくらい出来なくてなんだ」と、大人たちから教え込まれた常套句を言うようになった少女や、所属事務所とトラブルになるのを避けるため「素人は私の仕事に口出しするな」と反発する少女もいる。

 そこには子どもを孤立させ、信じさせ、搾取する意図をもった悪徳芸能プロダクションのやり方がある。

自分たちだけが味方だと思わせて支配

 周りが心配すればするほど、「夢を応援してくれていないんだ」「嫉妬しているからそういうことを言うんだ」「自分のことをわかってくれないんだ」などと思わせる環境を、子どもを商品化したい大人たちが作る。どんどん少女を孤立させていく。

 そうしておいて、時には高級焼肉店に連れていったり、優しい言葉を掛けたりして、自分たちだけが味方だと思わせて支配していく。売れたらこんな待遇を用意する、と一部の売れた(売り出した)メンバーの姿を見せながら夢を見させる。

 そんな関係性の中で、どの子なら長く使い続けられるか見極めて儲かる使い捨て方をする。

 こんなことが、10年以上放置されてきている。テレビで見掛けない日はないような有名アイドルグループにしても、同じように利益を追う大人たちが、子どもたちを過酷な環境で働かせて追い詰めてきた。そうした現実もメディアはしっかり扱うべきだと思う。

 少女を商品化しモノのように扱う。そこには人権意識などない。

 そのようにして商品化された少女たちを、「応援する」という名の下で消費し続けている日本社会。そこで暮らす私たち一人ひとりの意識は、麻痺していないか? 少女を追い詰めた責任はないのか?

 他人事にせず、全ての大人が考えなければならないと思う。

著者情報

社会活動家

仁藤夢乃

にとう ゆめの

1989年生まれ。中高時代に街をさまよう生活を送った経験から、10代女性を支える活動を行っている。これまでに夜の街でのアウトリーチ、シェルターでの保護や宿泊支援、シェアハウスでの住まいの提供といった活動を展開。第30期東京都「青少年問題協議会」委員。厚生労働省「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」構成員を務めた。TBS「サンデーモーニング」にコメンテーターとして出演中。著書に『難民高校生』(英治出版)、『女子高生の裏社会』(光文社新書)。

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