「忍ism」を起業して思ったこと
百地裕子(プロゲーマー)
気づけば毎年何か新しいことに挑戦していますね。これまでに積み重ねてきた私たちの活動に共感・応援してくださるスポンサー企業の方々のおかげで、念願だったプロゲーミングチーム「Fudoh(不動」「Kacho-Fugetsu(花鳥風月)」を設立することができました。「Fudoh」は、主に海外をメインストリームとした「ストリートファイターV」公式大会での活動を目指したチームで、先ほどご紹介した育成選手もメンバーとなっています。もう一つの「Kacho-Fugetsu」は、「スプラトゥーン2」(任天堂)というゲームタイトルで活動する女性のゲーミングチームです。
自分たちが11年から16年末まで所属していたアメリカのチーム「Evil Geniuses(イービル・ジーニアス)」、そして17年から現在も所属している「Echo Fox(エコー・フォックス)」では、プロチーム運営についてたくさんのことを学ばせていただいてきたので、それを生かして選手をサポートしていきます。
またそれだけでなく、起業してからのこの2年、いろんな企業の方々と一緒にお仕事をさせてもらったり、お仕事を依頼していただいたりしたことで、かなり勉強させてもらっています。
イベントを開催するにあたり、どのようなフローをどうやって進めるか、どのタイミングで告知すべきか、経験すればするほど想定される問題も多くなり、事前にそれを回避すべく準備できるようになっていきました。ですから、一緒に支えてくれる仲間だけでなく、一緒にお仕事をしてくださるいろいろな企業の皆さんにも支えていただいているなぁと常々思います。
感謝の心を忘れず、今年はこのプロチーム運営と「Tokyo Offline Party」イベントの開催、そして「P2G」イベントの開催を軸に、他にもたくさんやって参りますよ!
これまでご紹介したこと以外にも、17年は「ゲームで国際交流をしよう!」ということで韓国、台湾、フランスのゲーマーたちと交流戦をしました。9月21~24日に幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2017」(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会主催)でも台湾、フランスの選手を呼んで、デジタルカードゲーム「ハースストーン」で対戦を行いました。こうした交流戦は、格闘ゲームで仲良くなった各国のプレーヤー仲間に協力してもらって実現することができました。海外のプレーヤーと交流できる機会は、今後も作りたいですね。

ゲーム大好きな女の子のゲーミングチーム「P2G」によるイベントの様子

2018年3月に設立された忍ismのプロゲーミングチーム「Fudoh」
皆がいたからここまで来れた!
私たちの会社「忍ism」が実施しているプロジェクトのあれこれをご紹介しましたが、その中で私が主にやっているのは、これらの事業に関しての各企業とのやりとりや交渉です。企画立案に伴い必要な資料を作ったりもします。もちろん会社の説明資料や、企画の提案資料なんて、起業する以前は作ったことはありませんでした。ですが見よう見まねで作ってとにかくやってみれば、徐々にそれらしいものが作れるようになっていきました。
事務的なところで言えば、会社の経理などを税理士さんに教わりながらやっています。もともと「会社ってどうやって作るの? どうやって運営していくの?」がまったくわからないところからスタートし、少しずつ経験していく中で学び、理解を深めていっています。わからないことだらけでのスタートなので、正直大変なこともかなり多いです。
「税金対策のためにやっているんでしょ?」って言われることもあるのですが、とてもそんな気持ちで会社経営はできないと私は思います。起業してから、情熱がないと乗り越えられないようなことがたくさんありました。具体的にはお話しすることができませんが、理不尽なことや問題ってちょくちょく発生するんですよね。それをいかに乗り越えるか。それは事業に対して情熱がないと、決して乗り越えられないと思います。
なので言われるように、もし税金対策で会社をやっていたとしたら、こんなに毎年いろんなことに挑戦していないでしょうね。リスクのない挑戦なんてないですから。
それに会社は仕事をした分のお給料をくれる他に、健康保険料や厚生年金保険料などの一部も負担してくれていたことを、経理をするようになって初めて気づきました。会社員だった頃は、いろんな保険料が引かれてやだなぁくらいにしか思っていませんでしたけど、会社はそれ以上に社員の各種保険料を支払っていたんだなぁと。経営者となった今は、スタッフへのお給料の支払いを滞りなく行うために毎日必死です。でも、スタッフの皆がいてくれるからこそ頑張れるんですよね。
最近は仕事をしていて“楽しいなぁ~”と感じる瞬間が多いです。会社のスタッフたちと企画の話をしていて名案が浮かんだ時とか、イベントをスタッフ皆で手分けして作り上げ、無事やり遂げた時とか、仕事がうまくいった喜びを共有できる時とか。そういう瞬間がとても楽しくて、最近はいい意味で、仕事を仕事と感じていないですね。
やりたいからやる。だから頑張れる。皆と一緒だから頑張れる。私はもともと仕事や勉強をするよりゲームをしていたかったタイプで、どちらかといえば働くことはあまり好きではなかったです。ですが、最近は働くのがとても好きです。しょっちゅう問題が発生するので、どん底な気分にもなりますけど、でもやっぱり楽しいです。
スタッフたちといる時もそうですが、企業の担当者さんと打ち合わせをする時もとても楽しいです。いろいろな方とお話しできて、勉強させてもらうことが非常に多いのです。お話を聞かせていただき、自分が知らない考え方や見方を学んで、それを自分に生かす。自分が成長しているな、と感じられた時、とても幸せを感じます。
また最近、がむしゃらに仕事して仕事して頑張った後で、ゲームの練習をするとさらに幸せな気持ちになるんですよね。“ゲームを仕事にさせてもらえるって本当に幸せなことだなぁ”と。自分がいちばん好きなことをやっていていいんですもの。
もちろん世界のトッププロゲーマーじゃないので、それだけをやり続けることはできないけれど、メリハリがあるからこそ幸せを感じることもできます。そしてその活動を支えて応援してくれる人にも恵まれているし、スタッフたちも一緒に頑張ってくれる。これは本当にありがたいことだと思います。ここで改めて、お礼を言わせてください。
いつも応援してくださり本当にありがとうございます。皆の支えがあるから、私は頑張ることができます。これからもたくさん貢献できるよう精一杯頑張りますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
それではまた次回。