DARVO
[ダーヴォ/ダルヴォ:Deny, Attack, Reverse Victim and Offender]
三浦ゆえ(編集者、ライター)
加害行為や不正について責任を問われた人が、自身の行為を否認し、訴えた人を攻撃し、自分こそ被害者だと主張して、被害者と加害者の立場を逆転させようとする言動のパターンを言う。
アメリカの心理学者ジェニファー・フレイド博士が1997年に提唱したもので、Deny(否認)、Attack(攻撃)、Reverse Victim and Offender(被害者と加害者の逆転)の頭文字を取っている。博士は、特に性加害者が責任を問われた際に示す反応だと指摘する。
アメリカの心理学者ジェニファー・フレイド博士が1997年に提唱したもので、Deny(否認)、Attack(攻撃)、Reverse Victim and Offender(被害者と加害者の逆転)の頭文字を取っている。博士は、特に性加害者が責任を問われた際に示す反応だと指摘する。
・Deny:被害者から提示された自らの加害や不正を全面的に否定し、責任回避、または隠蔽を試みる。「そんなことはしていない」「お互い同意していただろう」など。
・Attack:被害者の人格、信用、評判などを攻撃する。「もともと感情的で、周囲とのトラブルが多い人だ」「売名のための告発だ」など。
・Reverse Victim and Offender:加害者が「自分こそが被害者である」と受け取れる主張をし、本来の被害者を「加害者」に見せることで、立場を入れ替える。「加害者扱いされ傷ついた」「虚偽の告発で、私のキャリアを潰すつもりか」 など。
たとえば、部下Xが上司Yの暴言を訴えたとする。Yは「親切心からだった(D)」と暴言であることを否認し、「Xはもともといい加減なやつ(A)」「良かれと思って注意したら、逆恨みで中傷された(RVO)」と周囲に嘆く。結果、周囲はXを「上司を不当に告発した部下」として問題視し、Yを「大変でしたね」と気遣うようになる。
このようにDARVOが及ぼす影響には、周囲が加害者を信じて本来の被害者を直接・間接に追い込むことが挙げられる。また、本来の被害者が、「理不尽な状況になったのは、自分のせいだ」と自責の念に駆られ、罪悪感を抱くことになる。
このようにDARVOが及ぼす影響には、周囲が加害者を信じて本来の被害者を直接・間接に追い込むことが挙げられる。また、本来の被害者が、「理不尽な状況になったのは、自分のせいだ」と自責の念に駆られ、罪悪感を抱くことになる。
組織がDARVOを行うこともある。例えば性暴力の被害を訴えた人に対し、警察が加害者の「同意があった」「訴えられたら人生が終わる」などの主張を採用し、訴えた人の信用を傷つけたり、不利益を与えたりすることがある。これを「制度的DARVO」といい、被害者を守るべき組織がかえってその傷を深めることから、特に悪質だとされている。
DARVOが社会で周知されれば、加害者から被害者への攻撃や、加害者による「自分こそが被害者」という主張に接したとき、何が最初に問題とされたのかに立ち返ることができる。周囲がそのすり替えに気づくことは、被害を訴えた人を孤立させないための一歩になる。