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消費税10%時代が始まる! 新たに導入される「軽減税率」と「インボイス制度」とは?

三木義一(青山学院大学名誉教授)

(構成・文/仲藤里美)

 今の日本の財政を立て直すために、税制において何らかの施策が必要なことは否定しません。しかしそれは、消費増税一本槍ではなく、たとえば株の配当金や譲渡益についてもしっかりと課税するなどの策も同時に検討すべきでしょう。
 特に考えるべきは、法人税についてです。近年、世界で企業誘致のための「法人税の税率割引競争」ともいうべき事態が起こっていて、日本でも法人税の引き下げが続いてきました。しかし、そんなことを続けていたら、いつかは「法人税率ゼロでないと企業に来てもらえない」ということになってしまうと思います。私は、日本が取るべき道は、そんな割引競争にいつまでも振り回されるのではなく「わが国では、ちゃんと適切な税率で法人税を納めてもらいます。かわりに、日本でビジネスをすればこんなメリットがありますよ」と、別の価値を提示して独自の道を進むことだと考えています。
 同時に、税金の使いみちについても、もっと透明化を徹底すべきです。せっかく税金を納めても、どのように使われているのか分からないし、無駄な使い方がされてもその責任を誰も取らないという仕組みが、この国ではずっと続いてきました。
 よく知られているように、スウェーデンなどの北欧では税金が非常に高く、日本の消費税にあたる税金の税率も25%前後です。しかし、かわりに医療費や教育費は無料、老後の保障も手厚いなど、毎日の生活の中に、税金が有効に使われているという実感があります。対して日本の私たちは、税金をきちんと払えばその恩恵は自分たちに返ってくる、そういう幸福感をずっと持てないまま来たのではないでしょうか。
 本来ならば選挙の際に、各政党がきちんと「私たちは税金をこういうことに使います」と、もっとクリアに説明するべきです。たとえば……ある政党は、増税分を防衛費に回す。こちらの政党は教育費に回す。そのためには税率をこのくらいにする必要がある、とそれぞれがしっかり示した上で、国民に判断させるべきだと思うのです。選挙のときにはどの政党も「減税します」しか言わず、政府は税金の使いみちをひた隠しにしているかのような、こんな不健全な状況はそろそろ変えていくべきではないでしょうか。
 これまで国民の側も、あまりに税制や税金に無関心で、誰かに「お任せ」しているという意識が強すぎたと感じます。今回の消費税率アップと軽減税率導入を機に、もっと多くの人に「税」を身近なものとしてとらえてほしい。そして、「ここがおかしい」と思ったときにはきちんと怒りの声を上げながら、誰もが「なるほどね」と納得できるような公正な仕組みをつくっていこうという姿勢を持ってほしいと考えます。

著者情報

青山学院大学名誉教授

三木義一

みき よしかず

1950年、東京都生まれ。一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。法学博士、弁護士、政府税制調査会専門家委員会委員(2009-2013)、青山学院大学学長(2015~2019)。民間税制調査会座長。著書に『日本の税金 第3版』 『日本の納税者』(共に岩波新書)など。東京新聞に「本音のコラム」連載中。近刊『税のタブー』(インターナショナル新書)が好評。

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