福島第一原発の貯まり続ける汚染水は、海洋放出するしか方法はないのか?
満田夏花(国際環境NGO FoE Japan理事、事務局長。原子力市民委員会座長代理)
私は、福島県いわき市の小名浜港や新地町の漁港を訪問し、この件に関して、漁業者の方々からのお話を聞くことができた。彼らの抱いている危機感は強い。共通しているのは、原発事故による打撃からようやく立ち直ろうとしてる最中、これ以上、放射性物質を海に流されてしまうことへの拒否感、長期にわたる影響への不安、たびたび反対の声をあげているのにもかかわらず、その声が聞かれないことへの怒りと不信だ。
「東京で消費する電気をつくるための原発が事故をおこし、それによって漁業がいためつけられている。汚染水が安全だというのならば、東京で流せばよい」。そういう声もあった。さらに「これは漁業者たちだけの問題ではない。日本全体の問題だ」という声も聞かれた。
こうした漁業者の切実な想いを私たちは真剣に受け止めるべきではないか。経済産業省は、「地元関係者の意見を聞く」としているが、前述の公聴会のときに漁業者を含む多くの人たちが海洋放出反対に反対し陸上保管を訴えたのにもかかわらず、結局は無視してしまったのではないか。
「時間切れ」でなし崩し的に、処理水の海洋放出に踏み切るべきではない。これは、漁業に大きな打撃を与え、漁業者の希望をくじくことになる。また、国際的な信頼も失うだろう。将来に大きな禍根を残す。
放射性物質は集中管理が原則である。大型タンクによる陸上保管案、モルタル固化案、敷地拡張案などを早急に検討すべきである。
著者情報
国際環境NGO FoE Japan理事、事務局長。原子力市民委員会座長代理
満田夏花
みつた かんな
FoE Japanにて脱原発と福島支援、開発金融と環境を担当。一般財団法人地球・人間環境フォーラム主任研究員を経て2009年よりFoE Japanに。3.11東日本大震災以降は、脱原発・持続可能なエネルギー政策の実現に向けた各種活動に従事。http://www.foejapan.org/(外部サイトに接続します)