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アメリカは「過去よりも未来」、「分断より連帯」を呼びかける女性大統領を選ぶことができるのだろうか?~2024年アメリカ大統領選を読む

渡辺由佳里(エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家)

〈アメリカ合衆国に住む女性の多くがフェミニストではないということに、わたしは驚かない。フェミニストであるためには、自分たちが平等であり、同じ権利を持つと信じなければならない。だが、自分が属している家族やコミュニティや教会や州がそれに同意しない場合には、日常生活で居心地が悪くなり、危険にもなる。11秒ごとに女性が殴られるこの国で、しかも10代から40代までの女性に暴力を与える加害者のトップが現在や過去のパートナーであるこの国では、多くの女性にとって、自分が平等で同じ権利を持つと考えないほうが安全なのだ〉

「変化」というのは、良い方向に向かう希望でもあるが、これまでよりも悪くなる可能性を抱える恐怖でもある。恐怖のほうが強い場合には、人は変化そのものに強い反感をもつ。
 ハリスがディベートでどんなに素晴らしいパフォーマンスをしても、トランプが錯乱して大統領にはふさわしくない行動を取っても、トランプが大統領に再び返り咲く可能性が高いのにはこういった理由がある。
 それでも、アメリカ人が絶望よりも希望を選ぶことを、私は心から願っている。

著者情報

エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家

渡辺由佳里

わたなべ ゆかり

助産師、日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、1995年よりアメリカ在住。ニューズウィーク日本版に「ベストセラーからアメリカを読む」、ほかにcakes、FINDERSなどでアメリカの文化や政治経済に関するエッセイを長期にわたり連載している。主幹する「洋書ファンクラブ」では年間200冊以上読破する洋書の中からこれはというものを読者に向けて発信し、多くの出版関係者が選書の参考にするほど高い評価を得ている。2001年に小説『ノーティアーズ』(新潮社)で小説新潮長篇新人賞受賞。著書に『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(2017年、晶文社)、『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(2020年、亜紀書房)、『アメリカはいつも夢見ている』(2022年、ベストセラーズ)など。翻訳書に、『毒見師イレーナ』(マリア・V・スナイダー著、2015年、ハーパーコリンズ・ジャパン)、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(デイヴィッド・ミーアマン・スコット他著、糸井重里監修、2020年、日経ビジネス人文庫)、『それを、真の名で呼ぶならば』(レベッカ・ソルニット著、2020年、岩波書店)などがある。

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