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サイエンス

自動運転でクルマは変わるのか

技術は実用目前、制度整備はこれから

大内明彦(モータリング・ライター)

 こうした専門の異なる多数の企業間で、自動運転に関する共通認識を持つため、ITS世界会議が定期的に設けられている。これは、ITSの関係者が集まり、交通諸問題の解決とビジネスチャンスの創出・拡大に向けた議論、発表を行う場で、1994年にパリで第1回が開かれて以降、毎年、世界各地で開催され、現在では100カ国以上から参加者が集まる国際会議となっている。
 ただし、規格などに関しては、メーカー間、業種間それぞれの利害関係が発生するため、なかなかむずかしい側面をいくつか抱えているのが現状である。
 自動運転は、ハードウエア面では実用化のめどが立った状況だが、これにより法整備が急務となってきた。現在の法律では、運転者が車両の運転に関する全責任を負うため、自動運転が実施されると責任の所在が不明となるからだ。極端に言えば、運転者不在でも自動車の稼働は可能で、運転者が搭乗していても運転以外の作業を行っていたり睡眠状態にあった場合の事故などにどう対処するかという問題である。また、これは1国の国内問題ではなく、多国間で自動運転に関する共通認識を待たなければならない。自動車の運転を規定したジュネーブ道路交通条約(1949年作成)やウィーン道路交通条約(1968年作成)といった世界規模での国際条約の見直しも必要で、こうした問題を解決した上で初めて自動運転の実用化は可能となる。
 自動車文明のひとつの到達点と見なせる自動運転の実現だが、これが可能になると自動車のあり方、形態そのものが現在とは異ったものに変化していくことになるのだろう。

著者情報

モータリング・ライター

大内明彦

おおうち あきひこ

1955年生まれ。早稲田大学卒業。自動車専門誌ル・ボラン副編集長、ル・ボラン別冊編集長を経て自動車ライターとして独立。メカニズム、ヒストリーの分野で執筆活動を手掛ける一方でモータースポーツの取材活動も行う。日本モータースポーツ記者会会員。著書「日本の名車60台」(学習研究社)など。

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