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「福島」をポジティブにしたい!(1)

それは「プロジェクトFUKUSHIMA!」から始まった。

大友良英(音楽家)

――福島では和合さんだけでなく、いろいろな方々と会われたようですね。
大友 ミュージシャンやライブハウス関係者など、音楽関係の知人・友人だけでなく、同級生やら友達が紹介してくれた人やら、毎日深夜まで話したり、街中を一緒に歩いたりしてました。話をしていると一見明るく見えるんです。でも、僕は、みんな心から血を流しているように感じました。それも半端じゃない量の出血です。街中がうつ状態みたいになっていて、誰もがどうしていいのかわからないんですよ。僕だって全くわかんない。政治家とか、本来ならば住人を先導する役割の人までそんな感じに見えました。
 だからこそ、祭りが必要だとも思ったってのもあります。これ、いきなり言うと誤解されそうなんで、丁寧に言いますね。
 まず原発をどうするのかとか大きな問題の解決は、僕らには無理だってのは、すぐにわかりました。それは、どこか大きな力を持った行政なりがやってくれないとどうにもならない。住民避難とかについてもそうです。個人でやれることはわずかしかないし、そもそも専門家でもない自分たちには何が的確な判断かもわからない。でも、何もせずに手をこまねいていてもどうにもならない。必要なのは、この状況の中で、どう考えていったらいいのかという道筋を見つけることだと思ったんです。今は普段の状態ではなく、どうやら誰も助けてくれないわけですから、自分でサバイバルするしかない。だからといって普段のことをやれるようにすればいいかっていうと、それは違う。なぜなら普段のママが通用しない世界になってるわけですから。
 そんな中で、自分にできることと言ったら、祭りをやることなのかもって思ったんです。小さくてもいいから、例えば町内会の祭りをやるってすれば、そのために、会場の放射線量を測らなくてならないでしょ。でもって、そこで祭りをやっていいのかどうか専門家に聞いてみて、ダメなら他の方法を、何か対策を練ってやれるならその対策をやってみる。そうした具体的なことなら、僕らでもできるんじゃないかって思ったんです。そう考えていくと、にわかにミチロウさんの言っていた1万人規模の野外フリーフェスが、そうしたことを皆で考えるにはいいんじゃないかって思えるようになってきたんです。
 おまけに、この規模なら簡単にできるわけではないから地元だけじゃなく各界の力も必要になる。いろんな分野の人が共同作業をしながら、この先をどうしていったらいいかを考える格好のプラットフォームの役目を果たしてくれるんじゃないかって思ったんです。祭りを作るプロセスで、1個1個の問題に対して対策を考えていけばいい……。そうした具体的なことが、見えない未来を作ってくことになるんじゃないかって考えたんです。
 4月下旬の最初の会合には60人を超える人が集まって、大きな方針が固まっていき、5月7日に「プロF」記者会見、5月8日には、東京でも最大の配信実績を誇るUstreamチャンネルのDOMMUNE(ドミューン)が全面協力してくれて、郡山にインターネットテレビの「DOMMUNE FUKUSHIMA!」を立ち上げて、プロジェクト発足と815のフェスをやるって宣言をしたんです。ものすごい勢いでした。

「福島」をポジティブにしたい!(2)へ続く。

著者情報

音楽家

大友良英

おおとも よしひで

1959年横浜生まれ。即興演奏やノイズ的な作品からポップスに至るまで多種多様な音楽 をつくり続け、世界各国で活動。映画などの映像作品の音楽を手がける一方で、さまざまな人たちとのコラボレーションを軸に、音楽作品や特殊形態のコンサートを手がけてもいる。障害のある子どもたちとの音楽ワークショップや一般参加型のプロジェクトといった活動でも注目されている。2012年、プロジェクトFUKUSHIMA ! の活動で芸術選奨文部科学大臣賞芸術振興部門を受賞、13年には「あまちゃん」での音楽活動で東京ドラマアウォード特別賞、レコード大賞作曲賞ほか数多くの賞を受賞。ギタリスト、ターンテーブル奏者、作曲家、プロデューサーとしても活躍中。著書に『大友良英のJamjam日記』(2008年、河出書房新社)ほか。

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