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一語千金

バレル

[barrel]
原油取引で使われる単位

玉手義朗(エコノミスト)

 バレルという単位をリットルに換算すると、およそ159リットルになる。バレルはヤード・ポンド法の単位だから、メートル法のリットルに換算すれば半端な数字になることは当然だ。
 ところが、バレルを同じヤード・ポンド法の一つ、ガロンで換算しても42ガロンと、これまた半端な数となる。実はバレルとは樽という意味で、アメリカで石油産業が登場した当初、酒樽に詰めて原油が運ばれていたことに由来している。
 使われていたのは50ガロン入りのシェリー酒の樽。ところが、輸送中にこぼれたり蒸発したりして、中身が減ってしまう。そこで、この目減り分を差し引いて取引が行われるようになり、1バレル=42ガロンという半端な単位が出来上がったのだ。
 50ガロンの樽に42ガロンしか入っていない原油。これは、現在の原油市場の需要と供給のアンバランスを象徴するかのようだ。
 樽の大きさを原油の「需要」とすれば、中に入れることの出来る原油量は「供給」となる。原油の需要は、中国の急速な経済成長などで急速に拡大、樽の大きさはどんどん大きくなっている。一方、中に入れることのできる原油量は、不安定な中東情勢なども手伝って頭打ち。大きくなる一方の樽とは対照的な状況だ。
 樽が小さくなることも期待出来ないし、原油の供給量が大幅に拡大して、より多くの原油を入れることも短期的には不可能だ。樽の中に原油を満たすことが出来ない限り、原油価格の高止まりは続き、日本、そして世界経済の不安定要因であり続けよう。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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