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なぜ食料支援に行列する学生が現れたのか?〜コロナ禍が暴いた若者の貧困

第14回

大内裕和(武蔵大学教授)

 1日あたりの生活費と直結するのが食費です。私の知っている学生の中にも、コロナ災害前から300~500円程度の大学食堂での昼食を、「値段が高い」といって敬遠する学生が増加していました。以前、関西の有名なマンモス私立大学での講演前に学生食堂に行ったら、5人の男子学生グループを見かけました。彼らは学生食堂の料理は食べず、全員揃ってコンビニで消費税込み200円前後のカップラーメンを買い、さらに全員が水筒を持参していました。その様子を見て、食費を抑えている学生が全国に広がっていることを痛感しました。

 私は大学教員として勤務して今年で23年目となりますが、近年、体調を崩しやすい学生が増えていることを強く感じています。深夜までおよぶアルバイトによる睡眠不足や生活習慣の乱れ、そして貧しい食生活が影響しているのではないかと私は危惧しています。

 このように2020年のコロナ災害で「食料支援に行列する」学生が登場した裏には、1990年代半ば以降の仕送り額の減少、貸与型奨学金の利用抑制によって進行してきた学生の貧困化があるのです。コロナ災害は、アルバイトなしには成り立たなくなっていた現代の学生の貧困をあぶりだすこととなりました。

 文部科学省の調査によれば、20年10月までの大学・大学院の退休学者は19年同月よりも少なくなっており、幸いにも退学や休学に追い込まれる学生の急増という状況は今のところ生じていません。しかし「食料支援に行列する」学生の登場は、学費は払えても生活が行き詰まっているという若者をとりまく状況が深刻化していることを意味します。多くの学生が要求する「学費の引き下げ」に加えて、自宅外学生に向けた家賃補助の導入や給付型奨学金の拡充など、抜本的な対策が求められていると思います。

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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