お金がなくて生理用品が買えない〜世界で大きなうねりをつくる「生理の貧困」
大内裕和(武蔵大学教授)
「生理の貧困」は女性に対する重大な人権侵害であり、政府も解決に向けて動き出すべきです。すでに世界的では、大きなうねりとなっています。
20年11月、英国のスコットランド議会は、タンポンやナプキンなど生理用品を無償で提供する法案を全会一致で成立させました。21年2月、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、6月から「生理の貧困」対策としてすべての学校で生理用品を無料提供すると発表しました。またフランス政府も21年2月、生理用品を買えない「生理の貧困」を無くす国際的な動きに同調し、すべての学生に生理用品を無償提供すると発表しました。
日本でも同様の動きが始まっています。兵庫県明石市は、21年4月から市立の学校の保健室や公共施設などで1人につき1袋26個入りのナプキンを無償で配布すると発表しました。また、東京都品川区では21年4月から、区立の小中学校など46校で小学4年生以上の児童が使う女子トイレに生理用品を設置する取り組みを新たに始めました。
女性の貧困問題、性教育のあり方などを根本的に解決することが求められますが、今、早急になすべきは困っている女性に生理用品を届けることだと思います。小学校、中学校、高校、短期大学、四年制大学、大学院、専門・専修学校など全教育機関で、生理用品を無償配布すべきです。そのことは、女性の「教育を受ける権利」を守ることにつながります。学生以外に対しては、公共施設での無償配布が有効でしょう。
ただし「生理の貧困」は、個々人の性に関わるデリケートな問題です。生理を「恥ずかしいもの」と捉え、隠してきた社会の風潮は変えていく必要があります。しかし、女性自身が生理について話すことや生理中であることを恥ずかしいと思う気持ちも、最大限尊重されなければいけません。学校や公共施設での無償提供の際には、「今、生理中で困っている」ということを開示せずに、誰もが必要な時に手に入れられる環境をつくることが重要だと思います。
このように「生理の貧困」は若者全体にとって大きな問題です。社会は一刻も早く応える責任があると思います。