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連載

嫁が「奴隷」だった時代

雨宮処凛(作家、活動家)

「昔はミルクなんてなかった」「今の嫁は楽をしている」。そんな言い分で泣くのはいつも、女と子どもだ。ちなみに多くの嫁が自らの財布さえ持っていなかったそうだが、万引きする女性の家は多くが「豊作に恵まれた中流農家」(同書)だったという。ただ、「嫁」だけが1円も自由にならない身なのだ。

 こんな現実が、たった数十年前まで、日本各地の農村に存在したのである。もちろん、出てくるのはひどい話ばかりではないが、全体的には女が人間扱いされていない時代であることがよくわかる。

 ちなみに最近、この話をある米どころの県でしたところ、50代の女性が「子どもの頃、豪農だった友人の家には、妻と妾が同居していた」とさらりと言った。妻と妾が同居とか、もっともっと昔の話だと思ってたんだけど……。

 女が人間扱いされない場所では、子どもの命も軽くなる。「男」で「年長」という理由だけでオッサンをのさばらせていると、呪いは再生産され続け、そしてそれは実害を発生させ続ける。

 生きづらさを感じていない、という高校生との対話から、戦後73年間のこの国の女性たちに、今、改めて思いを馳せている。

 

次回は2019年1月9日(水)の予定です。

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。作家、活動家。反貧困ネットワーク世話人。バンギャル、右翼活動家を経て、2000年に自伝的エッセー『生き地獄天国』でデビュー。自身の経験から、若者の生きづらさについて著作を発表する傍ら、イラクや北朝鮮へ渡航を重ねる。その後、格差や貧困問題について取材、執筆、運動を続ける。『生きさせろ! 難民化する若者たち』でJCJ賞受賞。著書に『一億総貧困時代』『「女子」という呪い』など多数。

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