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周回遅れの中絶法に、日本女性を不憫に思う

雨宮処凛(作家、活動家)

 2018年4月、「#私は黙らない0428」と題された街宣が東京・新宿で開催された。財務省事務次官のセクハラ問題を受けて催されたものだった。その街宣でスピーチした大学院生は、ある映画監督のインタビュー記事を読んだ時の違和感について、語った。プロデューサーから映画監督が言われたという「バカな女子高生、バカな女子大生、バカなOLでもわかる映画を作らなきゃダメなんだよ」という言葉。彼女は怒りを込めて言った。

「なぜ、バカな大学生じゃなくバカな女子大生なんですか。なぜ、バカなサラリーマンじゃなくバカなOLなんですか。なぜ、女性はバカが標準設定とされているんでしょうか」

 胸がスッとした。ああ、私はずっと、こういう言葉を聞きたかったんだ、と思った。「バカな女子大生」と言ったプロデューサーは、たぶん、私と同世代か年上だと思う。この世代の男性には、そんな価値観が骨の髄まで染み込んでいる。おそらくロンブーのガサ入れを面白がった世代。

 だけど、そんなおっさんが無傷で生きられる時代はもう終わった。気付いてほしいのは、普段からの「何気ない貶め」が、どれほどの実害を生み出してきたかということだ。

「だって、だってこいつらには何やったっていいってテレビでやってたもん!」

 中出し男は、もし自分の行為を責められたらそう弁解したのではないだろうか。そんな言い分通らないけれど、メディアがそのような価値観を垂れ流し、社会がそれを容認してきたことを私たちは知っている。それを苦々しく思って口にしても「カタいこと言うなよ」と黙らされてきた歴史がある。

〈安全な中絶、流産を考える日〉に気付いた日本の周回遅れすぎる状況。だけど少しずつ、変わってきているのも確かだ。

次回は12月4日(水)の予定です。

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。作家、活動家。反貧困ネットワーク世話人。バンギャル、右翼活動家を経て、2000年に自伝的エッセー『生き地獄天国』でデビュー。自身の経験から、若者の生きづらさについて著作を発表する傍ら、イラクや北朝鮮へ渡航を重ねる。その後、格差や貧困問題について取材、執筆、運動を続ける。『生きさせろ! 難民化する若者たち』でJCJ賞受賞。著書に『一億総貧困時代』『「女子」という呪い』など多数。

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