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コロナ禍「女性不況」2年目に寄せられた女性からの悲鳴

雨宮処凛(作家、活動家)

「派遣で働いているがコロナで仕事が不安定になり、派遣があっても単発の仕事しかない。1年半で預金もなくなってきた。住民税や年金、健康保険を滞納している」(30代女性)

「パート職員。緊急事態宣言で休業させられ収入が半分。パートなので会社からは何の保障もない。貯金を切り崩して生活中。受給できる給付金はないか?」(40代女性)

「コロナの影響で仕事が減少し、3つの仕事をかけもちしているが、コロナ前に比べ約10万円月収が減り、生活に困窮」(20代女性)

「スーパー等での商品宣伝販売パート。緊急事態宣言の影響で仕事が激減。昨年(2020年)は休業手当が出た。今回は欠勤か年休扱いと言われた。母子家庭でもあり生活に影響」(年齢不詳・女性)

「ホテルのラウンジでアルバイト。ホテルが1店閉店 となり余剰人員が出たため、シフトを分け合うことに。1日5時間月20日勤務が1日3時間月6日程度に減らされ、生活できない。年金は保険料を払っておらず受給なし。国保も払っておらず貯金もなく、現在手持ちが3000円。このままでは住む場所も失う」(70代女性)

 これらの言葉は、20年4月から2カ月ごとに開催されている「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」に寄せられたものである。全国の弁護士や司法書士、支援者などが電話を受けるこの相談会はこれまで11回にわたって開催され、1万人以上の悲鳴を受け止めてきた。私も相談員として電話を受けてきたのだが、そこから浮かび上がるのは、コロナ禍での「女性不況」の実態だ。

 ここで20年4月からの相談の傾向を振り返ると、最初の頃は「休業手当」などに関する相談が多かった。緊急事態宣言で店が休みになった、自宅待機を命じられているが保障はどうなるかなどの声だ。非正規雇用が多かったが正規の人も一定数おり、また持続化給付金について相談してくるフリーランスの人も多かった。

 それが相談会を重ねるにつれ、相談者における無職者の割合が増えていった。

 ちなみにこの電話相談会、20年8月からその内容を「貧困研究会」が分析しているのだが、それによると、20年8月、電話をかけてくる人のうち無職者の割合は28.1%だったのに対し、21年6月には54.5%、8月には45.9%と約半数まで増えている。

 一方、事態の悪化が如実に表れているのは預貯金額だ。20年8月に電話してきた人の預貯金額は、平均値で232万円。しかし、21年6月には、平均額が28万円まで下がっていた。中央値は20年8月で16万円。21年6月、8月はともに0円。

 また、21年8月に電話をくれた中で、預貯金額について回答があった226人のうち、54.9%の124人が預貯金・手持ち金が0円。10万円までが全体の71%を占めている。

 そんな電話相談における男女比率はだいたい男性6割、女性4割。電話相談という特性か、平均年齢はメール相談などより高く、20年8月から21年8月までの平均で56.1歳。

 今回は、コロナ禍2年目に寄せられた女性たちの声に耳を傾けたい。

 さて、冒頭に紹介したのも21年中に寄せられた相談である。ちなみに全員が派遣やアルバイトなどの非正規雇用。

 では正社員が安心かと言えば、そんなことない。以下のような声も届いている。

「正社員(営業事務)。コロナで給料が月5万円減り賞与もなくなり生活が苦しい。何か使える制度はないか」(40代女性)

 また、冒頭の数件は非正規というだけでなく、単身もしくは母子世帯のケースだが、結婚していれば安泰かと言えばそれもそれで大変だ。

「夫はタクシー運転手。元々30万円くらいの収入が減少。自身はパートで2人合わせても20万円くらいにしかならない。緊急小口、総合支援資金借り入れ済み。生活が大変で何か利用できるものはないか」(年齢不詳・女性)

「夫が旅行会社勤務。ボーナスカット、4月から給料15%カット。月8万のローンが厳しい。貸付制度はないか」(40代女性)

 中には「夫が心筋梗塞で倒れた。死にたい。夫を殺したい」という相談もあった。詳細は不明だが、介護疲れによって相当追い詰められている女性の姿が目に浮かぶ。

 また、コロナ禍では飲食・宿泊などのサービス業が大打撃を受けたわけだが、夜の街も大きなダメージを受けた。20年4月からそんな声は届いているが、21年も多く寄せられている。代表的なものを紹介しよう。

「スナックで働いていたが休業続き。貯金とパートでしのいできたが、もう限界。社協(社会福祉協議会)の借り入れも受けてしまったので生活保護の相談に行ったら『若いからどうにかなるでしょ』と言われた」(40代女性)

 一方、高齢女性の貧困も深刻だ。低年金や無年金ゆえ、70代でも働かなくてはいけない人々がコロナによって職を失い、途方に暮れる様子が伝わってくる。

「6月に解雇され、自分の葬儀費用として貯めていた貯金を崩しながら生活している。障害のある子どもと2人暮らし。この先の生活が不安」(70代女性)

「単身。パートで週3回4時間程度働いているが、コロナで時給を削られ、健康保険料も払えず、いよいよ生活が厳しく消費者ローンを利用しようかと思っている」(70代女性)

「無職、夫70代。夫婦でホテルの清掃に従事していたが、コロナの影響で退職することになった。年齢的にも再就職は厳しく生活が困窮している」(60代女性)

 また、60代女性からの以下のような相談もあった。

「解雇される。友人の自宅で居候、ネットカフェを転々とする。生活保護申請したが3回断られる」

 相談内容だけ読んだ時は、友人宅、ネットカフェというキーワードから、てっきり若い世代からのものだと思っていた。しかし、今や60代の女性であってもネットカフェ暮らしを余儀なくされるのだ。が、振り返れば20年11月、渋谷のバス停で撲殺されたホームレス女性も60代だった。20年2月にスーパーの試食販売の仕事を失った彼女は、その少し前に借りていたアパートも家賃を払えず失っていた。単身で非正規で働き、また賃貸物件暮らしであれば、女性であっても「ホームレス」生活への落とし穴はすぐそばにあるという現実に、多くの女性が戦慄した。

 では持ち家で、夫がいれば安心かと言えばまったくそんなことはない。この2年ほど、電話相談に限らず、多くの現場で「夫から暴力を振るわれた」「モラハラがひどくて耐えられない」という話を聞いてきた。コロナ禍で失業したり減収したりしてストレスを抱える夫からDVが始まった、初めて警察を呼んだなどの相談が増えているのだ。が、DV夫のもとから逃げ出せば、あっという間にホームレス化のリスクに晒される女性は多い。女性のホームレス化の一部は、確実に「DV夫からの逃亡」という形で始まっている。夫にバレている友人宅や実家に身を寄せることができないケースが多いからだ。

 ちなみに、ネットカフェを転々としているという60代女性は生活保護を3度も断られているというが、この点も気になるところだ。

 なぜなら、住まいも職もお金もない状態であれば、間違いなく生活保護の対象となるはずだからだ。では「お金がない」が、どの程度を指すのかと言えば、単身者であればだいたい6万円以下であれば対象となる。10万円以上あれば「それ以下になってから来て」と言われることもあるが、もし、残金が6万円以下でそのような対応をされていたのなら、彼女は「水際作戦」という違法な対応をされたことになるので、「首都圏生活保護支援法律家ネットワーク」などに相談してみるといいだろう。

 一方、スナックで働いていた女性からの「生活保護の相談に行ったら『若いからどうにかなるでしょ』と言われた」というものもあったが、若い、若くないは生活保護利用において一切関係ない。こちらも同じく、所持金が規定以下などの一定条件を満たせば対象となる。

 もう一つ書いておきたいのは、「持ち家があるから生活保護を受けられない」という間違った説明を受けている人、説明を受けずともそう思い込んでいる人が多いということだ。

「15年前夫を在宅介護するため離職し、2年前に夫が死去し収入がない。持ち家だから生活保護は受けられないと言われた。お金を借りたい」(70代女性)

「現在、月5万円の年金で生活しており、生活保護の申請に行ったら、持ち家があるので保護は受けられないと言われた」(70代女性)

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。作家、活動家。反貧困ネットワーク世話人。バンギャル、右翼活動家を経て、2000年に自伝的エッセー『生き地獄天国』でデビュー。自身の経験から、若者の生きづらさについて著作を発表する傍ら、イラクや北朝鮮へ渡航を重ねる。その後、格差や貧困問題について取材、執筆、運動を続ける。『生きさせろ! 難民化する若者たち』でJCJ賞受賞。著書に『一億総貧困時代』『「女子」という呪い』など多数。

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