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連載

第9回 桜沢エリカさん(漫画家)

猫たちは暮らしと心に潤いを与えてくれる存在です。

桜沢エリカ(漫画家)

加藤由子(動物ライター)

桜沢 それにしても、加藤さんちの猫は人懐こいんですね。チビちゃん、さっきからずっと私たちがいるこのテーブルの上ですもんね。
加藤 チビはお客さんが来るといつもこんなです。「いらっしゃ~い」って感じで、私は「お水猫」って言ってます。もしくは、「参加型」(笑)。まるは17歳だからもうヨボヨボです。
桜沢 まるちゃんの目はどうしたんですか?
加藤 子猫の頃、知り合いの獣医師に保護された時には、もう目の周りが化膿してて片目がなかったんです。で、飼ってよと言われて、こういう猫だから長生きしないだろうと思っていたら17歳。
桜沢 うちにいたカッチーも似たような感じでした。片目がなくて、もう片方も白い膜がかかっちゃって、ほぼ見えていなかった。でも、面白いなと思ったのは、目が見えてない分、踏ん張りながら暮らしていたのか、すごく筋肉質のたくましい体つきでした。カッチーも18歳くらいまで生きましたよ。
加藤 やっぱり長生きしたんですね。あら、チビ、いいね。撫でてもらって。久々の短毛の手触り、どうですか?
桜沢 そうそう、短毛って触るとこんなだったなって思い出しました。何て言うか、体温が直接伝わってくる感じ。ダイレクトに猫の体温を感じられますね。
加藤 それは確かに言えますね。長毛だと毛皮着てるようなものでしょ。そうすると冬になっても布団の中に入ってきて一緒に寝ないですか?
桜沢 寝てくれないです。
加藤 それはちょっと寂しいですね。
桜沢 長毛ってもっとベタベタ甘えてくるかと思ったんですが、そうではなかった。あ、でも、先代の3匹たちは、抱っこがあんまり好きじゃなかったのですが、抱っこはしっかりさせてくれますよ。前の3匹は抱っこされたくない時は、「嫌だ」って体をよじって腕から飛び出しちゃうのに、今の猫たちはギューッと抱きしめると諦めるのか、くた~って力が抜けるんです。あ、今、諦めたなって瞬間がわかる(笑)。私や夫はしつこくしないんだけど、中学生の娘がしつこいんですよ。猫を抱きしめて「ママ見て~。今、諦めたよ」って言うから見ると、ホントに死んだような目をして諦めた顔で抱かれています(笑)。
加藤 アハハハハ。諦めるって面白い表現ですね。抵抗せずに諦めることを猫は学習したのかな。

猫の食い扶持は猫自身が稼ぐ!?

加藤 猫のどこを漫画のネタとして拾い上げるかはその人の感性ですよね。ささいな日常のどこを切り取るか。あ、これ漫画のネタになるっていうポイントはきっと人によって違うんだろうなって思うんですよ。桜沢さんは、猫の面白さってどんなところを見ているんでしょうか?
桜沢 うーん。さっきもお話ししたように形は好きですね。でもまあ、何しててもかわいいじゃないですか、猫って。どこを、というよりは猫は全てのポーズがかわいいから描くのは楽しいですね。その辺に寝そべっているところもかわいいし、顔洗ってるところもかわいいし。
加藤 桜沢さんが漫画を描く上で、猫はどういう存在なのでしょうか? 少なくともあけみちゃんを拾ったら、猫の漫画描きませんかって言われたというのは、すごく大きい巡り合わせだと思います。自分の食い扶持を持ってやってきたあけみちゃんはほんと優秀です。
桜沢 そうですね。あけみが来たことで『シッポがともだち』シリーズが誕生し、カッチーとベンも加わってエッセイ漫画として18年も続きました。そのコたちがみんな旅立って、少し間は空きましたが、グレ、ルル、メロとまた3匹になって、今は『もふっとさせて』(ホーム社)でこの3匹のことを描いていますから、本当に猫たちは自分の食い扶持くらいはみんな稼いでくれてるかな(笑)。でも、結果的にネタになっているだけで、私にとって一番大きいのは、心と暮らしに潤いを与えてくれる存在だってこと。やっぱり、これに尽きます。
加藤 ありがとうございました。

◆一筆御礼 ~対談を終えて
 漫画家さんの知り合いは何人かいますが、皆、どちらかというと寡黙です。桜沢さんもどことなくそんな印象を受けました。クリエーターとは、そういうものかもしれません。でも、そんな桜沢さんも猫が仰向け大の字で寝ている絵を描いて「うん、上出来」と思ったとき、それを眺めながら私同様、ツボにはまって大笑いをしているのではないかしら? と勝手な想像をしてしまいました。
桜沢さん、我が家の“お水猫”たちとお付き合いくださって、本当にありがとうございました。自分の猫たちを毎日見ているのに、人の家の猫たちについ顔をほころばす。たとえ人見知り同士であったとしても、お互いの間に猫が寝そべっていれば話が弾む。猫好きたちは「猫好きパスポート」を持っているということなのでしょう。私の「猫好きパスポート」に“桜沢エリカ国”のスタンプが増えました。

撮影:橋詰かずえ  
*の写真は桜沢エリカさん提供

著者情報

漫画家

桜沢エリカ

さくらざわ えりか

10代でデビューして以来、コミック誌やファッション誌など多方面で活躍中。女性の心情をリアルに描写した漫画やイラストを手掛け、代表作『メイキン・ハッピィ』(祥伝社)で不動の人気を得る。粋なストーリー漫画を描く一方で、猫好きのバイブル『シッポがともだち』(集英社)や子育て漫画『今日もお天気』シリーズ(祥伝社)のようなエッセイ漫画にも定評がある。近著に『テリフィック!』(集英社クリエイティブ、2016年)、『もふっ♡とさせて』(ホーム社、2016年)。『女性自身』(光文社)で『スタアの時代』を連載中。
〈2016.08〉

動物ライター

加藤由子

かとう よしこ

動物ライター、エッセイスト。「ヒトと動物の関係学会」監事。1949年生まれ。日本女子大学卒。大学では生物学(動物行動学)を専攻。移動動物園などを経てフリーライターになる。動物、特にネコの生態や行動学に精通し、ネコに関する書籍などを多数執筆している。ネコ関連の著書に、『雨の日のネコはとことん眠い』『ぬき足、さし足、にゃんこ足』(共にPHP研究所)、『ネコを長生きさせる50の秘訣』(サイエンス・アイ新書)、『猫の気持ちを聞いてごらん』(幻冬舎文庫)、『猫式生活のすゝめ』(誠文堂新光社)、『猫とさいごの日まで幸せにくらす本』(大泉書店)、『猫の気持ちは見た目で9割わかる!』(大和書房)ほか多数。

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