この国で、「女子」でいることはかなりしんどい。その3
北原 私の小学校三年生の時の先生が本当にクソだったのね。今から思うと、セクハラだったんじゃないかと思う。可愛い女の子を膝に乗せてるような人だった。
雨宮 エーッ。
北原 たぶんロリコンだよね。その先生が本当に嫌いで、気持ち悪くて。で、その先生は「男子は女子を呼び捨てしていいよ」とか、「女子は男子を君付けで呼べ」みたいなことを平気で言う人でした。私は、当時学校に通うのがすっごい苦しかったんです。
その時にちょうど、四年生になったくらいでしたけど、市川房枝さんが亡くなった。市川さんは日本を代表する女性の政治家で、女性の参政権運動に尽力した人です。彼女が亡くなって、毎日のように市川房枝特集みたいなことをテレビやその他のメディアでやっていた。そのおばあさんの話を読んで、私はすごく元気になったわけ。
女の人が、それもおばあさんがこんなにカッコいいと称えられることがあるって、私、それまで知らなかったし、「女は男よりも一段低いんだ」みたいなことを学校の先生が言うような中で、こんなカッコいいおばあさんがいる! って気付いた。だから、女たちの歴史とか闘いって、ちゃんと伝えていかないといけない。今、市川さんについては教科書とかにも載っていないらしく、20代の女性たちは名前も知らないと聞きます。女たちの歴史って、こんなふうに消えていってしまう。呪いにかからないようにするには、自分を信じるとか誇りを持つことが大事。そのためにも、女の歴史を知ることは意味のあることだと思います。
フェミニズムってどういう思想かなと考えてみると、私は、その人自身が自由であることだと思う。その一方で、これまで死んでいった女たちの悔しさの声を聴くことも必要なんです。差別に遭ったり、強姦されたりして、物も言えずに死んでいった女たち……悔しい思いを抱えてきた女たちの声を聴くのが、私たちの仕事だと思う。そして皆さんも日常の中でできることがきっとあるはず。
雨宮 「呪いの言葉」の解決法というか、対策を考えた時に、男性が変わるために、こちらから男性に言い返す言葉があればいいなと思っています。
「若くて可愛い女にしか価値がない」と男尊女卑的なことを言う人には、そういう人って「働け、稼げ」という圧力にさらされていることが多いので、年収の話を持ち出すと効くんですよ。「年収●●円以上の男しか価値がない」とか言ってみて、ほら、そういうことを言われたらイヤでしょう? と。それをきっかけにしたいけど、上手に返さないとお互いに言い合いになって「へこます作戦」になっちゃいますね。
やっぱり(私たちはこれまで)一言で黙らされてきたじゃないですか。女への「呪いの言葉」って、ブス、ババアを始めとして、「家事ができないからダメだ」とか、「そんなこと言ってるとモテない」とか、「女は若くて可愛い子がいい」とか、一言でこてんぱんに打ちのめされるような言葉を私たちは浴びてきた。それに対して、こちら側からの一言で反撃できる強烈な言葉はまだ生みだせていないんですよね。しかも、それが男性にとって考える契機となって、自分たちにも「男性への呪い」があると気付いてくれるような、奇跡の一言があればいいですよね。
今日、お二人とお話しして、いろんなヒントをもらいました。ありがとうございました。

お疲れさまでした!!(田房さん・雨宮さん・北原さん)