imidas - 情報・知識&オピニオン

連載

【和の心 暦と行事】甲子園

葉月(8月)

知っていますか? 日本の四季と暮らしが生んだ、暦やしきたりを紹介。

 炎天の下、汗と涙にまみれた高校球児が、グラウンドの砂をかき集めている。いつもながらの「夏の甲子園」(全国高校野球選手権大会)の光景。それは、すっかり日本の夏の風物詩として定着している。

 阪神甲子園球場、通称「甲子園」は、日本初の大規模球場。屋外の施設としては最大の球場である。ただ、それだけでなく、この球場は日本の「野球の聖地」、「野球人の心のふるさと」といわれ、「甲子園」というだけで涙ぐむ人もいる。それは「ベースボール」ではなく、日本の「野球」が育んだ精神性である。

「甲子園」ができたのは大正13年(1924)。その年は、60年に1度の「甲子きのえね」の年で、それにちなんで「甲子園大運動場」と命名された。同年、「夏の選手権」の第10回大会、翌年、「春のセンバツ」(選抜高校野球大会)の第2回大会が、この新球場で開催され、以降「甲子園」は高校球児(当時は中学球児)の夢の舞台となった。

 そして、ここから日本の球史を彩る数々の「甲子園伝説」が生まれることになる。イチロー(鈴木一朗)はこのマウンドで投げ、マツイ(松井秀喜)は5打席連続敬遠という不可思議な作戦の渦中の人となった。マツザカ(松坂大輔)はこの晴れ舞台の決勝でノーヒットノーランという快投を演じ、「松坂世代」という言葉を生んだ。

 さて、球場名の由来となった干支えとの「甲子」だが、干支とは「十干十二支じっかんじゅうにし」のこと。十干は、こうおつへいていこうしんじんを五行(木、火、土、金、水)にのっとって順に陽と陰に当て、陽を、陰をとする。

 したがって、読み方は、たとえば「甲」は陽でだから「きのえ」。これにうしうまなどの十二支を組み合わせて「十干十二支」とする。つまり十干の「きのえ」と十二支の「」である年は、単に「」の年ではなく、「甲子きのえね」の年。そして、十干と十二支のそれぞれの最初である甲と子の組み合わせ「甲子」の年は、十干十二支の最初となる。この10と12の最小公倍数は60だから、十干と十二支のこの組み合わせも60年に1度。その一回りで「還暦」となる。

2008/08/15

◆その他の暦と行事はこちら!【和の心 暦と行事】

著者情報

谷村鯛夢

たにむら たいむ

1949年生まれ。同志社大学文学部卒。「婦人画報」「25ansウエディング」「トランタン」などの女性誌の編集者、編集長、テレビコメンテーターを経て、現在、出版プロデューサー、コラムニスト。俳句集団「粗々会」同人、俳句誌「炎環」「馬酔木」会員。

関連記事

新着記事

imidasの最新記事はこちら!