ヤングケアラー問題が深刻化している 〜実態調査から見えた「家族主義」の壁
大内裕和(武蔵大学教授)
第二に、学校の支援体制を改善することです。それには教員の過剰労働を是正し、彼らが子どもたちにじっくりと向かい合う時間を確保することが最も重要です(第16回「学校の先生になりたい人が減っている!?」)。加えてスクールソーシャルワーカーの人員体制や教員との協力関係を充実させることです。
第三に、子どもが世話をしている家族への支援を検討することです。ヤングケアラーとなっている子どもを把握するのが困難というなら、ケアを必要としている家族のほうを探し出して対応する。そのためには地域の医療や福祉を担う人や機関(民生委員、ケアマネジャー、地域包括支援センター、医療機関、社会福祉協議会等)が、ケアを必要としている対象者の身辺をよく調査することです。そこに子どもが含まれている場合は、ヤングケアラーの存在を疑って状況把握し、気になることがあれば要対協や学校と情報共有して対応を検討することが求められます。
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すでに述べたように、ヤングケアラーは学校生活で苦境を強いられています。「困っている家族がいたら助けるのは当たり前」という家族主義によって、彼らは家庭内でのケア労働を当然のこととして受け入れたり、我慢を強いられたりしています。家族主義のベールに隠された中で長時間の労働を行うことで「教育を受ける権利」(憲法第26条)を侵害され、子ども時代の貴重な経験や出会いの場も奪われている「犠牲者」でもあります。
普遍的福祉が実現された社会をめざすうえでも、ヤングケアラーという若者への抑圧を可視化すること、そして彼らを家族主義の呪縛から解き放つことが強く求められていると思います。