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11月27日、遂にESAT-J実施の日がきた! ~激化する反対運動を押し切った都教委

第36回

大内裕和(武蔵大学教授)

 22年11月に入ってから「都立高校入試英語スピーキングテストに反対する保護者の会」が、ESAT-Jの受験申し込みについてアンケート調査を行いました。回答57件の内、「子どもが学校でESAT-Jの受験申し込みをしたけれど保護者は同意していない」というケースが11件も見つかりました。このことが個人情報保護法に違反するかどうかは今後、法律の専門家による判定が必要です。私はこのアンケートの自由記述欄で、自分の身が引き裂かれるような保護者の言葉に出会いました。

〈子どもは、私がESAT-Jに反対しているのを知っているので、登録を迷っていたようです。私はTwitterで、保護者の同意が必要なことも、登録先がベネッセだということも知っていて、怒りを大爆発させていました。今も登録に関しては、許せないことだらけです。夏休み明け、子どものクラスではほとんどの子達が未登録でしたが、締め切り3日くらい前に「登録しないと、20点分が0点になるよ」と話があり、子どもも保護者も青くなって登録を始めました。我が家も娘が泣きながら、「ママの言うことが正しいと思う。でも、0点は怖い」と。あげく、過呼吸をおこして苦しむ娘を見て、しぶしぶ登録しました〉

 ESAT-Jに受験登録する際に、過呼吸になって苦しむ受験生がいます。これは子どもに対する人権侵害ではないでしょうか。

◆◆

 一方で、全くかけはなれた現実が存在します。ESAT-Jの試験監督のアルバイト募集は、11月27日の試験当日8日前となった時点でも続いていました。私の知る限りでは、以下のような求人情報がインターネットに掲載されています。

学生歓迎&11月27日のみ短期の試験監督
○激ゆる採用
○時給1500円
○勤務時間は9時25分~16時45分(実働6時間35分)
○交通費支給、上限1500円

 過呼吸で苦しんでまで受験登録を強制される受験生がいる一方で、「激ゆる採用」で集められたアルバイトの試験監督によって運営されるESAT-J試験。両者のあまりにもかけはなれた現実に、強行した東京都の教育行政のおぞましさがよくあらわれていると私は思います。かくして第1回目のESAT-J試験は予定通り終了しましたが、私たちが危惧していた問題が現実味を帯びてくるのはまさにこれからです。

 住民監査請求の却下を受け、11月21日、私たちはESAT-Jが個人情報保護法制に違反するとの理由で東京都を相手に住民訴訟を起こしました。ESAT-Jの問題点を明らかにすることで、子どもたち一人権利と尊厳を第一に考える教育行政をつくっていきたいと考えています。

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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