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2024年、高卒就職者の求人倍率が「過去最高」に 〜このニュースをあなたはどう考える?

第49回

大内裕和(武蔵大学教授)

 そうして社会全体でも高卒就職者への支援を強化すべきです。国や自治体は、高卒就職者に対して不利益な扱いをしないよう、雇用する事業所への指導や教育を積極的に行うことが求められます。明らかに劣悪な待遇を行っている事業所や雇用主には、厳しい罰則を課すべきです。労働組合も高卒就職者向けの相談窓口を積極的に設置し、彼らの声を拾い上げることで待遇改善につなげる活動を広げていただきたいです。

◆◆

 最後に、新聞やテレビなどのメディアにお願いです。高卒者求人倍率「過去最高」というニュース報道だけで終わらせず、「その後」を追跡取材してください。

 24年春に就職した彼らが、きちんとした待遇を受けて定着できたか? 職場でのキャリアアップはできているか? 転職を希望した際に正規雇用の受け入れ先はあるか? 大卒以上の就職者との賃金格差はどう推移しているか? 高卒で就職しても結婚や子育ては問題ないか? 就職時点での求人数や倍率にだけ注目するのではなく、高卒就職者がその後、どのような職業人生やライフコースを歩むことになるのかを正確に捉えることによって、高卒就職者の置かれている社会的位置や課題が見えてきます。

 高卒後に大学・短大・専門学校へ進学する人が8割以上を占める現代の日本では、高卒就職者がノン・エリートかつ少数派であることは間違いありません。そうした彼らがどのような人生を送れるかに、この社会のありようが示されるのだと私は考えます。ノン・エリートかつ少数派であっても置いていかれることなく、一人ひとりが尊重される社会をつくっていくために、私たちが取り組むべき課題は数多くあります。

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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