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連載

ブラックバイトという戦場

雨宮処凛(作家、活動家)

「日本では安全保障法制の成立以後、高卒者の就職状況がそんなによくなっていないにもかかわらず、自衛隊応募者が減っています。そうしたら、アメリカと同じようなことを考えるのは自然というか、論理上、それはやるだろうと。そういう点では体の商品化どころか、命の商品化ですよ」
 前原氏の「インターン」発言から2カ月後の14年7月、集団的自衛権行使容認の閣議決定がなされ、15年9月に安保法制が成立。16年3月に施行され、自衛隊はいつでも海外に送り出せる存在となった。
 戦争は、最大の貧困ビジネスだ。米軍兵士の多くは奨学金目当ての貧困層。そんな兵士を支えるのは、世界中の最貧国から集められた月収10万円程度の戦場出稼ぎ労働者。イラク戦争では、給食から清掃、洗濯、郵便業務、警備などありとあらゆる業務を民間企業が請け負った。そんな戦場出稼ぎ労働者からは多くの死者が出た。が、当然「戦死者」にはカウントされない。
 そんな話になった時、大内氏は言った。
「そういった戦争もありますが、ある意味で今の若者の置かれている日常も戦場になっている。ブラック企業もブラックバイトも戦場です。自衛隊や防衛省の付近にだけ戦場があるわけじゃない。安保法制に反対して『9条守れ』という運動はあったけれど、憲法や人権の問題がしっくりこないという若者もいる。なんでかって、毎日人権無視の状態で働いている人からしたら、『人権』なんて言われても何の実感もないじゃないですか」
 6月24日、厚生労働省が発表した平成27年度「過労死等の労災補償状況」によると、過労死(脳・心臓疾患)での労災請求は795件。一方、過労などが原因で精神障害となり労災申請をした人は過去最高の1515人となった。ちなみに若者に限ってみると、過酷な労働でうつ病や自殺に追い込まれる人の数はこの15年で10倍にも増えている。
 奨学金やブラックバイト問題から、気がつけば話題はこの国の「戦場性」、そして安保法制成立後にリアルになった「経済的徴兵制」にまでおよんでいた。
 が、ここにこそ、今の社会を読み解く大きなヒントがあると思うのだ。

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。作家、活動家。反貧困ネットワーク世話人。バンギャル、右翼活動家を経て、2000年に自伝的エッセー『生き地獄天国』でデビュー。自身の経験から、若者の生きづらさについて著作を発表する傍ら、イラクや北朝鮮へ渡航を重ねる。その後、格差や貧困問題について取材、執筆、運動を続ける。『生きさせろ! 難民化する若者たち』でJCJ賞受賞。著書に『一億総貧困時代』『「女子」という呪い』など多数。

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