学費負担軽減をめぐる運動が拡大! ~学生と大学教員が力を合わせ院内集会へ
大内裕和(武蔵大学教授)
当然ですが、この提言は高等教育と日本社会の構造変動を踏まえた研究会での慎重な議論をへて出されたものであり、学生の皆さんの要求から直接導き出されたものではありません。しかし、研究会での議論や提言をまとめる際に、20年に学生の皆さんから出された要求内容が意識されていたことは間違いありません。そしてこの提言を元に、24年5月からのオンライン署名「高等教育費や奨学金返済の負担軽減のため、公的負担の大幅拡充を求めます!」が始まったのです。
20年の学生の皆さんの運動と、現在進めているオンライン署名との関係が見えてきたことによって、25年5月8日の院内集会を学生とつくっていく上でのビジョンが明確化しました。そうして、稲葉剛さん(立教大学大学院客員教授)、隠岐さや香さん(東京大学大学院教授)、小澤浩明さん(東洋大学教授)、杉田真衣さん(東京都立大学准教授)、山田哲也さん(一橋大学大学院教授)とともに25年4月14日、「[緊急]2026年度学費負担軽減! 高等教育予算拡充を求める5・8院内集会 参加の呼びかけ」という文章を発表し、集会への参加を広く呼びかけました。
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5.8院内集会では、12名の学生と9名の大学教員によるスピーチがあり、文字通り学生と大学教員がともにつくる集会となりました。学生と大学教員、それぞれの立場から、現在の大学が置かれている苦境と、高等教育予算の拡充を求める切実な訴えが行われました。そうして会場参加約150名、オンライン参加を含めると参加者は430名を上回りました。国会議員の参加は28名で、院内集会としては大きな成功を収めたといえるでしょう。
集会の中で特に印象に残った早稲田大学学生の発言の一部を紹介します。
「要請書は〈本要請の実現のため、お力を貸していただきたく存じます。よろしくお願いいたします〉と締め括られています。しかし、そもそも私たちは何故お願いしなければならないのでしょうか。政府に要請するのであれば、まずは今まで何をやってきたか分かっているのか、何故今まで声を聞いてこなかったのか、ということから始めなければならない。『真摯に受け止める』とか『適切に対応していく』とか不毛な答弁を繰り返す横で、私たちは進学を断念し、アルバイト漬けになり、借金を背負わされています。それにもかかわらず、何故お願いしなければならないのでしょうか。本来なら『よろしくお願いいたします』なんてあり得ないのです」
「今まで何をやってきたか分かっているのか、何故今まで声を聞いてこなかったのか」という学生からの問いかけに、政府関係者は誠実に向き合うべきです。私もこの言葉を胸に刻んで、高等教育費負担軽減へ向けて取り組んでいきたいと考えています。