imidas - 情報・知識&オピニオン

連載

どうなってんの?! 日本のセクハラ社会

雨宮処凛(作家、活動家)

アデイト(タレント、アーティスト)

(構成・文/本間公子)

雨宮 日本の男性は、ドーンと構えて、女性をかしづかせるようなのが男らしいと考えている人が多いんです。でも、それは大間違い。だいたい、日本では「男女平等だ」という教育をされてもそれが建前になっている。平等と言われる一方で、家族やメディアから「女なんだからこうしなさい」と言われることのほうが多い。フランスやドイツでは、女性に対して「家事をしろ」「早く結婚しろ」「早く子どもを産め」とか言われたりしますか?

アデイト 日本みたいに、「何歳までに結婚しなさい」というプレッシャーはないですね。結婚していないカップルが子どもをつくることも多いので、結婚や出産に対する考え方はかなり自由な感じです。

脱! シンデレラストーリー

雨宮 日本の男性は、どうしたら変わると思いますか?

アデイト まずは、アダルトビデオをすべて法律で取り締まればいいと思う。あと、メディアは美人とか可愛いというだけで女性をもてはやすのではなく、世の中に貢献できる能力を持った女性をフューチャーすべき。そうすれば、子どもたちも「アイドルになりたい」とかではなく、医者や科学者に憧れるようになると思うんです。

雨宮 日本だと「美人すぎる科学者」とか「美人すぎる医者」みたいな感じの注目のされ方しかないですからね。これってすごく絶望的。

アデイト それ、海外でもあります。男性は「この人とエッチできるか、できないか」というふうに、女性を性的な目でしか見ていないんです。

雨宮 ほんと、ほんと。

アデイト だから、アダルトビデオとか電車内での痴漢行為とかコンビニに置いてあるエッチなグラビア雑誌とか、そういうのは全部なくすべき。世の男性は、下半身じゃなくて頭で考えられるようにならないと。

雨宮 今の日本では裸とかセックスとかはあちこちに氾濫しているんだけど、避妊とか生理とか、さらには女性に対するリスペクトとか、本当に必要な知識はシャットアウトされているんですよね。

アデイト あとね、男性はアダルトビデオに毒されているけど、女性もシンデレラストーリーに洗脳されているでしょう。子どもの頃から自分がお姫様で、いつか素敵な王子様が現れて救ってくれる、みたいな。でも、それではダメ。女性たちはそんな夢物語はきっぱりと捨てて、「自分で頑張れる」とか「自分でお金を稼げる」とかいうふうに、男性に頼らない生き方や考え方を持つべきだと思います。

雨宮 そういうシンデレラストーリーって、海外にもあるの?

アデイト 世界共通ですね。でも、シンデレラストーリーって今の時代には合わないでしょう。例えば、ディズニー映画の『アナと雪の女王』みたいに女の子が立ち上がるストーリーを、今の子どもたちにどんどん見せたほうがいい。

雨宮 先ほど年齢による差別の話が出ましたけど、日本では女性がある程度の年齢になると「ババア」とか「オバサン」とか呼ばれるじゃないですか。

アデイト 私、26歳の時に言われました……。

雨宮 それはひどい! 「ババア」や「オバサン」は、「女としての価値が低い」ということを暗に言っている言葉だと思うんですけど、フランス語にはそれに該当する言葉がないと聞いたことがあります。

アデイト ないですね。年老いた女性のことを「vieille dame」って言いますけど、これは80歳ぐらいの老婦人を指します。

雨宮 おばあさん、ですね。

アデイト そうそう。「お年寄り」っていう意味。

雨宮 日本語の「ババア」はホントにひどい言葉なんですが、一方で、女性も自分で「私、もうオバサンだから」と自虐的に言ったりするでしょ。それを煽るメディアにも責任があると思うんだけど、年齢で「年甲斐もなくそんな格好して」とか「あの年でそんなことするのはイタい」みたいに縛るのは、すごく変だし、窮屈なことだと思うんですよね。

男性に頼るのをやめよう

雨宮 私は新著の『「女子」という呪い』という本の中で、「必殺! 困った時のフランス人」という原稿を書きました。女子会なんかをしていると、日本の男性がいかにひどいかという話題が絶対出る。特に「若い女」にしか価値を見出さない風潮は若くない女性にとっては圧力で、「でも、フランス人男性だったら若さだけなんて求めてなさそう」というところから「もうフランス人しかない!」「フランス人と結婚したい!」と盛り上がる光景を何度も見ている、ということを書いたんですが、これについてアデイトさんはどう思いますか?

アデイト 日本に限らず、私の知り合いにもフランス人男性と結婚した女性がけっこういます。フランスの男性はホステスのいるクラブなんかにお金や時間をかけず、奥さんや子どもにたくさんの愛情を注ぐんです。そういう環境が、子どもたちにもいい影響を与えます。

雨宮 なんか羨ましいを通り越して、日本の女性って不幸すぎる、と改めて思います。こんな状況の中で、日本の女性ができることって何がありますかね?

アデイト まずは、男性に頼るのをやめること。私は今、自分で会社をやっていますけど、男性に頼らなくてもすごくうまくいっているし、毎日がとても幸せです。素敵な友達もたくさんいるし。

雨宮 それって結局、女性が経済的に自立するしかないってことでしょうか?

アデイト はい。そうすれば間違いなく幸せになれると思います。

雨宮 つまり、アデイトさんは男性の女性に対する意識や考え方を変えさせるのは至難の業で、それよりも女性が自分で稼いで男性に頼らず生きていくのが一番だと。

アデイト もちろん男は必要ないし、頼らなくても幸せになれる。だって、男性とランチするより素敵な女友達とランチしたほうが楽しいでしょ?

雨宮 そりゃそうだ(笑)。

アデイト 私自身、セクハラに嫌気がさして一時は自殺まで考えたこともあったけど、「男なんてもう役に立たない」と思い直してからはいろんなことが楽しくなりました。それで別に寂しいとも思わないし、一人ぼっちだとも感じません。結婚している友達にも「あなたは自由でいいな」とよく言われます。だから今の女性たちも、もっと男性から自由になればいい。「そばに男性がいないとダメ」とか「子どもをつくらなきゃダメ」とかいう思い込みは、きれいさっぱり捨てましょう。

雨宮 彼氏や旦那がいないと、「誰か紹介するよ」とか言われるけど、これって余計なお世話ですよね(笑)。今日はアデイトさんの話が聞けてよかった。ありがとうございました。

次回は5月9日(水)の予定です。

雨宮処凛の最新刊『「女子」という呪い』(集英社クリエイティブ)4月5日発売

著者情報

作家、活動家

雨宮処凛

あまみや かりん

1975年、北海道生まれ。作家、活動家。反貧困ネットワーク世話人。バンギャル、右翼活動家を経て、2000年に自伝的エッセー『生き地獄天国』でデビュー。自身の経験から、若者の生きづらさについて著作を発表する傍ら、イラクや北朝鮮へ渡航を重ねる。その後、格差や貧困問題について取材、執筆、運動を続ける。『生きさせろ! 難民化する若者たち』でJCJ賞受賞。著書に『一億総貧困時代』『「女子」という呪い』など多数。

タレント、アーティスト

アデイト

あでいと

1976年、フランスのストラスブール生まれ。8歳で演技を始め、98年に日本に移住してテレビ番組や映画に出演。2008年のX JAPAN 東京ドームコンサートではDJを担当、12年にはリドリー・スコットがプロデュースした映画作品『JAPAN IN A DAY』で撮影監督をつとめるなど、歌手、女優、ディレクター、カメラマン、大学教授、ファッションデザイナーなどとしてマルチに活動している。

関連記事

新着記事

imidasの更新情報をお届けします。