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連載

第12回 森永卓郎さん(経済アナリスト)

ツンデレな猫たちは悪女。思うようにならないから楽しい。

森永卓郎(経済アナリスト)

加藤由子(動物ライター)

 テレビでおなじみの森永卓郎さんは猫好きで、4匹の猫を飼っています。アイドル好き、ミニカーやフィギュアやグリコのおまけなどの“狂信的”とも言えるコレクターとして有名ですから、猫との暮らしはきっとベタベタの蜜月状態なのだろうと思っていました。ところが意外にも、まったく違っていたんです……。

襲われて流血! なつかない4匹の猫たち

加藤 ご自宅には、4匹の猫がいるそうですね。
森永 10歳になる三毛猫の「ミック」(メス)と、その後にやってきた今年で9歳になるキジトラの3きょうだい、「クリス」(メス)、「ジョーイ」(オス)、「コリー」(オス)がいます。
加藤 森永さんになつかない猫がいると聞いたのですが、どの猫がダメなんですか?
森永 全部です、4匹とも。
加藤 あら! そうなんですね。
森永 普通のお宅は猫がその辺にいるじゃないですか、飼い主の目の届く所に。でも、うちの猫たちは、日中はほとんど人目につく所にはいません。昼間はそれぞれどこかで過ごして、ごはんを食べるときと夜に姿を現します。かみさんにはなついているんですが、それでも抱っこはできません。ミックだけは2~3分、なんとか抱っこを我慢できる(笑)。よその猫の話を聞くと、体すり寄せてきたり、抱っこしてもいいコにしてるって言うじゃないですか。うちの猫なんてもう、捕まえたら大暴れですよ。
加藤 全員なついていないっていうのもめずらしいですね。
森永 猫と暮らしてもう10年経つんですが、私は完全に部外者、侵入者扱いです。忙しいときは週末しか自宅に帰れないせいもあるんでしょうが、私が帰宅すると猫たちはちらっとこっちを見て逃げます。3きょうだいは半径2メートル以内に近づくと一斉に逃げ出します(笑)。
加藤 そのとき、猫の目をじっと見てませんか?
森永 見てます。特にミックは私にガンを飛ばしてきます。
加藤 猫の習性としてガンをつけるっていうのがあるんですよね。じっと目を合わせるのは威嚇のサインですから、猫の目を見ながら近づくと逃げられるか攻撃されます。
森永 ミックは頭がいいんです。車で外出して戻ると、ミックだけは音を聞きつけて玄関で待ってるんです。で、かみさんの顔を見ると後をついて行くんですが、私だと「なんだ、お前か」って感じでプイッと行ってしまう(笑)。近所に住んでいる息子がたまに帰ってくるけど、息子には大丈夫なのに。
加藤 どうして森永さんにだけ、そんなにつれない態度なんでしょうかね。一緒にいる時間が短いというのが決定打なのかしら。
森永 私が拾ってやったのに、ミックは私をなめてるんですよ(笑)。
加藤 「拾ってやった」は猫には通用しないかも(笑)。ミックとはどこで出会ったんですか?
森永 知り合いのマンションの踊り場で野良猫が子どもを産んで、引き取り手を探していたんです。まだ手のひらに載るくらいの小さな子猫が5~6匹いて、ミックはその中の1匹。すぐに保護してしまったせいか、猫どうしで学ぶべきものが学べてないから、甘咬みができなくて本気咬みをするんですよ。自分は猫だと思ってないんでしょうね。
加藤 なんだと思ってるんでしょうかね。
森永 私よりえらいと思っていることは間違いないです(笑)。だって、私が撫でようとすると「触るんじゃねーよ」って感じで、「お前なんか、へっ」って顔をするんですよ、本当に。とにかく私への攻撃がすごい。ミックはかみさんと一緒に寝ているのですが、隣で寝ている私のことを夜中に襲ってきますから。ある朝、目覚めたら私は手から流血してました。朝のテレビ番組の出演があったのでそのままテレビ局に行ったら、「森永さん、それじゃあテレビに出られませんよ」って言われて、メイクさんが私の顔のメイクはほったらかしで手のひっかき傷を隠すことに専念してました(笑)。
加藤 布団から出ている足を猫にかじられるっていうのはよく聞きますけどね。
森永 足はないですね。狙われるのは手と顔です。いきなり、バーンですよ。
加藤 アハハハハ。笑いごとじゃないけど、顔って、本気で狙われてますね。そこまで攻撃されるのはなんでだろう。非常に興味深いです。

テレビを破壊!? ワイルドな3きょうだい猫

加藤 クリス、ジョーイ、コリーの3きょうだいはどこから来たんですか?
森永 自宅の庭で野良猫が産みました。それで生後半年くらい経って冬が来るころ、このままじゃ寒さを乗り越えるのは大変だろうから、保護して飼おうかということになって。
加藤 室内に入れたときに「外に出たい」と騒ぎませんでしたか? 野良猫でも自宅から離れた所から電車や車で移動させて室内飼育にすると、それまでのなわばりとはまったく違う環境になるので室内飼育も成功することが多いけど、近い場所、庭から室内のような場合のほうが案外失敗することもあるんですよ。
森永 失敗ってどうなっちゃうんですか? 
加藤 猫が「出して出して」と1日中騒ぐので、耐えきれなくなって結局外に出してしまい、完全室内飼育にできないんです。
森永 うちの場合は室内からは出さないけど、行動は外にいたときのまんまなんでしょうね。窓を開けたら出ていっちゃうと思いますが、自宅は田舎のほうにあって広さだけは確保できているので、なんとかなっているのかも。とにかく3きょうだいは野性的。生後6カ月くらいまで外にいたから、屋根の上とか走り回って運動能力が相当鍛えられたんでしょうね。なので、最初は大変でした。うちの玄関は吹き抜けになっているんですが、その上に一気に2メートルくらいジャンプして桟の上に飛び乗ったのはいいけど、降りられなくなって救出するのに大騒ぎ。今でも下駄箱を踏み台にして、吹き抜けまでジャンプしてます。
加藤 元気ですね~。
森永 猫たちが一番盛り上がるのは狩りをするときです。田舎なもんで、ムカデとかカマキリとかが部屋の中に入ってくるんですよ。そのときはめずらしく猫たちが一致団結します。この間もゴキブリが出たみたいで、足だけ落ちてて体がないから、かみさんが「誰だ、食ったのは!」って(笑)。窓から外を眺めててスズメなどの鳥が飛んでくるとそれに飛びかかろうともします。そういえば、テレビを壊したこともあるんですよ。画面の中の動物に飛びかかったみたいです。犯人ははっきりしないけど、多分コリーかな。ものすごい勢いで飛びかかったんでしょうね。液晶がぶっ壊れて、しかたないから買い換えましたよ。
加藤 アハハハハ。本当にワイルドですね!
森永 そうそう、午後3時になるとかみさんが猫におやつをあげるんですが、ミックは時間がわかるようで、2時半くらいからそわそわしだすんです。他の猫たちはかみさんが「おやつだよ~」と言うと出てくる。みんな言うこと聞かないくせにおやつのときだけは出てくるんです。なんか、猫っていうより、高崎山のサルみたいな感じです(笑)。

年を取ると猫も角が取れて丸くなる!?

加藤 森永さんが猫を飼ったのはミックが初めてですか?
森永 家の中でちゃんと飼ったのはそうです。
加藤 初めて飼ったミックがそっけない猫で、次に迎え入れた3きょうだいもまたあんまりなつかないってことなんですね。
森永 そうですね。
加藤 猫たちがもっと年を取ったら変わるかもしれないですよ。猫も年を取ると角が取れる。猫は8歳過ぎたくらいから性格が変わるというのが、これまでの経験から得た私の説で、触られるのを嫌がってた猫が「まあ、いいか」と触らせてくれるようになることがある。年を取ると猫も耳が遠くなったり目が悪くなったりするので、刺激にあまり反応しなくなり、人を拒絶しなくなるようです。
森永 へぇ~、そうなんですか。初めのうちは4~5年経ったら慣れるとみんなから言われていたんですが、もう10歳と9歳ですから、無理なんじゃないでしょうかね。
加藤 猫たちはそれぞれどんな性格ですか。
森永 ジョーイはすばしっこくて、常に走り回っています。人と一番接触をもたないのもジョーイ。一番小さいのがクリスで、体の大きさもミックの半分くらいで、とてつもなく臆病なんです。かみさんには慣れているので撫でてほしくて鳴いて呼ぶくせに、そっと撫でてても少し動いただけでぴゅーっと逃げちゃう。コリーは性格はいいけど、すごくバカ。だから、私が唯一触れる猫はコリーです。ミックはとにかく私に対して攻撃的。だけど、一時期ほどではないという気がしています。
加藤 やっぱり少し角が取れて丸くなってきたんじゃないですか(笑)。
森永 すごいデブで体は丸くなりましたけどね(笑)。

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著者情報

経済アナリスト

森永卓郎

もりなが たくろう

1957年東京生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局(出向)、三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)の主席研究員を経て、現在はテレビやラジオなどのコメンテーターとしても活躍。2006年から獨協大学経済学部教授も務める。現在は読売テレビ 「情報ライブ ミヤネ屋」、TBS「がっちりマンデー!!」などにレギュラー出演中。ミニカーやフィギュアなど様々なコレクターとしても知られ、2014年にコレクション約10万点を展示したモリタクミュージアム「B宝館」(新所沢)をオープンさせた。(2016.11)

動物ライター

加藤由子

かとう よしこ

動物ライター、エッセイスト。「ヒトと動物の関係学会」監事。1949年生まれ。日本女子大学卒。大学では生物学(動物行動学)を専攻。移動動物園などを経てフリーライターになる。動物、特にネコの生態や行動学に精通し、ネコに関する書籍などを多数執筆している。ネコ関連の著書に、『雨の日のネコはとことん眠い』『ぬき足、さし足、にゃんこ足』(共にPHP研究所)、『ネコを長生きさせる50の秘訣』(サイエンス・アイ新書)、『猫の気持ちを聞いてごらん』(幻冬舎文庫)、『猫式生活のすゝめ』(誠文堂新光社)、『猫とさいごの日まで幸せにくらす本』(大泉書店)、『猫の気持ちは見た目で9割わかる!』(大和書房)ほか多数。

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