第11回 とよた真帆さん(女優)
とよた真帆さんは、私の『好きな女優さんランキング』のトップグループに昔から入っています。さわやかな美貌もさることながら、声に魅力を感じるのです。声というより「声の出し方」と言ったほうが適切かもしれません。まるでソプラノ歌手の歌声のようで何とも心地いい、テレビから聞こえてくるたびにそう思っています。とよた真帆さんが猫を語る美声をナマで聞きに行きました。
結婚のきっかけは猫!?
加藤 とよたさんは、子どものころから動物がそばにいたそうですね。
とよた 物心がついたときには、猫8匹と犬、ニワトリもいました。ニワトリは、姉か兄が縁日で買ってきたひよこが大きくなったようです。でも、やっぱり記憶に残っているのは猫ですね。
加藤 ご家族も動物が好きだったんですね。
とよた そうですね。母が猫好きで、ずっと猫はいました。私は実家暮らしが長くて、ひとり暮らしをして自分だけの猫と暮らし始めたのは、30歳を過ぎてからですね。最初の猫は、今は亡き「しーちゃん」(享年推定15歳・オス)です。
加藤 どちらで出会ったんですか?
とよた 琵琶湖の近くで撮影をしていたときに見つけました。まだ本当に小さな子猫で、片目が目やにでふさがっていて、撮影中、ずっと気になってたんです。それで、近くで畑仕事をしていたおばあちゃんに、「この猫、どうしたんですか?」と尋ねたら、野良の子で母猫がほったらかしにしているというので、「保護してもいいですか?」と声をかけたら、「持ってって、持ってって」っていう感じで。
加藤 それで東京まで連れて来たのですね。
とよた そうです。まだ撮影が残っていたので、動物病院に連れて行った後に京都の知り合いのところで2~3日預かってもらい、撮影が終わったら新幹線で一緒に東京に帰ってきました。その後、「ジジ」(享年推定13歳・オス)、「フィオ」(推定17歳・オス)に出会って、結婚前には3匹猫がいました。
加藤 3匹と一緒にお嫁入りですか。
とよた お嫁入りっていうか、結婚して夫(映画監督の青山真治さん)という大きな猫が1匹増えたみたいな感じですかね(笑)。
加藤 ご主人も猫好きだったんですか?
とよた 犬は飼っていたけど、猫を飼ったことはなくって、かわいさがわからなかったみたい。私と暮らすようになって初めて猫に接した感じです。まだ結婚前で、夫とつき合っていたころに、子猫だった「うぶうぶ」(推定16歳・オス)を私が保護したのですが、すでに3匹いたので4匹目はどうかと思って、友だちに「猫飼わない?」と声をかけていたんです。でも彼が子猫のかわいらしさにすっかりやられてしまったらしく……。
加藤 わかる(笑)。
とよた 2日目くらいには「俺が飼う」と。他にも飼いたいという人がいて、その人にどんな模様かとか聞かれたんですが、「容姿を気にするようなやつにはあげない。そういうレベルじゃないんだ」とか言い出して。で、結果的に結婚して一緒に飼うことになりました(笑)。
加藤 そういういいダンナさんをよく見つけましたね。猫への思い、ばっちり気が合ってるじゃありませんか。
とよた まあそうですね。動物好きというのが結婚の第一条件ではないけど、動物好きじゃない人とはたぶん一緒にはいられないでしょうから。
加藤 結婚してからも、猫は増えてるんですか。
とよた そうですね。
加藤 ダンナさんが拾ってきた猫もいますか?
とよた それはいないです。結婚後、『サッド ヴァケイション』という夫の作品に私も参加し、九州に撮影に行ったとき、私が野良猫の子猫を見つけて、撮影の合間に手なずけていたんです。そしたら、横から「やめてよ~、ダメだよ~」ってずっと言ってました(笑)。結局、地元の方が飼うことになって、夫はほっとしてましたね。でも、その後、「ボンボン」(推定8歳・オス)、「タラ」(推定8歳・オス)、「ペト」(推定6歳・オス)、「茶々丸」(推定5歳・オス)の4匹が増えました。
運命的に出会う猫はなぜかオスばかり
加藤 今、ご自宅にいるのは何匹ですか?
とよた しーちゃんとジジが亡くなって、タラちゃんが家出中だから、今は5匹です。タラちゃんはペトとの相性が悪くて、出て行っちゃったんです。私と暮らす猫は、なぜかみんなオスばかり。別に選んでいるわけじゃなくて、たまたま拾ったのがオスだったんです。
加藤 すごいですね。オスばかりで、猫どうしの関係ってどうですか? 結構うまくいっちゃうものかしら。
とよた だいたいうまくいってるんですが、ペトだけが輪を乱してます。
加藤 輪を乱すとは?
とよた ペトはかなりKY、空気読めないんですよ。なんかね、多分、みんなペトの言ってることがよくわからないというか、ペトの行動に猫たちもきょとんとしちゃうというか。
加藤 たとえば、どんな感じですか?
とよた 突然、「ニャー」じゃなくて、「ワー」って言いながら登場するんです。ホントに「ワー」なんですよ。猫たちもびっくりで、猫語が通じ合えていないというか。若手のボンボンや茶々丸とはまだいいのですが、年上のフィオやうぶうぶは理解不能という感じで、相性はよくない。最近のうぶうぶは、ペトに因縁をつけるのが生きがいという感じですね。ペトが何もしてないのにちょっかいを出してますから。フィオはあきらめたようで、相手にしません。もうおじいちゃんだし、自分のことで精いっぱい。うちは二世帯住宅で、母が下の階に住んでいますが、うちの猫たちも母が大好き。中でもペトがとにかく母のことが好きなんです。私が命がけで助けてあげた猫なのに、母にべったりなんて(笑)。
加藤 ペトはどこで保護したんですか?
とよた 交通量の多い道路の真ん中で、です。前を走っていたトラックと乗用車が接触事故を起こして、どうしたのかと思ったら、乗用車が何かを避けたらしく、それが子猫だったんです。後ろにいた私はこのままだったら子猫がひかれてしまうと思い、自分の車の下に子猫が来るように車を止め、事故で前が詰まっていたので、そのすきに子猫を保護しました。それがペトです。
加藤 すごい出会いですね。とよたさんは猫との出会いがいろいろあるんですね。
とよた 猫を拾うときに、もう絶対に私しか救えないからこれは運命だと思って保護するのですが、“キャツら”(とよたさんちの猫たち)にとっては賭けですよね。その輪を乱す1匹が、一石を投じるわけですから、あ、何かが変わるかもなって思いながら連れていきます。だけど、キャツらは、自分も拾われてきたから、あ、また自分たちと同じようなのがきたか、くらいに思っているのかもしれません。
加藤 2匹とか3匹だったら結構もめるかもしれないけど、5匹6匹いたらもめごとも薄れるのかもしれませんね。

ロケ先の保護猫活動はお手のもの!?
加藤 とよたさんは地道に保護猫活動をされていますよね。
とよた 私の目の前に救いを求めている猫が現れたら、運命だと思って手を差し伸べるくらいしかできませんが。私、2020年の東京オリンピックまでに不幸な犬猫をゼロにする「TOKYO ZEROキャンペーン」の呼びかけ人でもあるんです。9月に、猫のエッセイ『もふもふ猫まみれ とよたさんちのマブ猫(だち)22のハッピールール』(講談社刊)を出版しましたが、その売り上げの一部はキャンペーンに寄付します。
加藤 それはいいですね。最近は、東京では野良の子猫は見かけなくなりましたよね。
とよた 私は撮影などで地方の漁港とか廃墟とかに行く機会が多いので、そうすると結構出会ってしまうんですよね。猫の鳴き声が聞こえてくると気になっちゃって。意外と耳がいいので、救いを求めてる子猫の声がかすかにでも聞こえると、そっちのほうへ行くんですよ。「どこにいる? 誰? 猫の神様ですよ」とか言いながら近づく(笑)。
加藤 そしたら「はい」って出てくるんですね(笑)。ロケバスにキャリーバッグとか保護猫セットが積んであるなんてことは?
とよた さすがにそれはないけれど、段ボール箱をもらうのは得意ですよ。コンビニとかに行って、「すみません、猫拾っちゃったんで、いらない段ボール箱があったらください」って。保護した猫を俳優仲間に引き取ってもらうこともあります。猫をほしがっている人がいないか、情報をインプットしておくんです。いつか猫とめぐり会ったときに、すぐに連絡できるように。
加藤 俳優界の保護猫普及活動をすごくやっている雰囲気ですね。頼もしいです!
