第15回 海原純子さん(心療内科医)
心療内科医として数々の著書を出してきた海原純子さんが、なんと猫本を出しました。でも、ご自分の猫の話ではありません。書名は『こんなふうに生きればいいにゃん』。副題は「心療内科医がネコから教わった生き方のコツ」で、“猫のように嫌なことはすぐに忘れ、無駄な労力を使わず、自分の感性を何よりも大切にして生きればいい”が本のテーマです。
読みながら思いました。私は気づかないままに猫のように生きていました。猫好きたちは皆、同じではないでしょうか。猫好きに心療内科医は必要がないのかも!?
裏目に出た2匹作戦
海原 加藤さんの本は、以前から読ませていただいています。特に『雨の日のネコはとことん眠い』(PHP研究所、1990年刊)は大好きでした。だから、今日は楽しみにしていたんですよ。
加藤 ありがとうございます。光栄です。それでは、まず海原さんちの猫の紹介からお願いします。
海原 このコは「フー」ちゃん。10歳です。もう1匹、15歳の「ミー」ちゃんがいるんですが、とても人見知りで。
加藤 2匹の相性はどうですか?
海原 ダメです。私が出張がちなので、もう1匹いたほうが仲良く留守番できるんじゃないかと思ったんですが、ぜんぜん合わなくて(笑)。どっちもメスなんですが、性格がちがうんです。ミーはどちらかというと、ひとりでじっと空を見ているのが好きなタイプ。フーは遊ぶのが大好きで、初めの頃は遊ぼうってミーの側に近づいては怒られてた。いつもフーッて言われてたからフーちゃんって名前になったんですよ。
加藤 2匹作戦が裏目に出ましたか(笑)。ミーちゃんの人見知りは、元からですか?
海原 フーが来てから特に、かな。その前はじゃれたり遊んだりしていたんですよ。ミーは頭が良くて、人の気持ちが繊細にわかるんです。私が仕事で大変なときなどは察して、なんとなく側にいてくれる。フーはぼーっとしてて、まったくそういうのはないですね。
加藤 ミーちゃんはいつもどこにいるんですか?
海原 隣の部屋です。ふたりが顔を合わせると、追いかけ合って部屋中すごいことになっちゃうんで、動線を完全に分けて出会わないようにしています。お互い一歩も譲らずに攻めていく感じですから。
加藤 ミーちゃんはずっとひとりで過ごしているんですか?
海原 ひとりが好きなんですよ。でも、夜に私と一緒に寝るのはミーで、フーはこの辺で寝てます。
加藤 フーちゃん、お腹のところがたぷんとたるんでいるのが、アメショー(アメリカン・ショートヘアー)っぽくて、かわいいですね。でもこのコ、足が太いですね。あ、レディに向かってごめんね(笑)。
海原 確かに足が太くて短いんです。態度もデカイ。女のコっぽくないんです(笑)。
かなわぬ猫の恋の顛末
海原 ミーの前には「ダダ」というアメショーがいました。ダダはとても性格が良かったので、アメショーはみんなこうかと思ったら、ミーはちょっと気むずかし屋さんでした。
加藤 オスは飼ったことないんですか?
海原 ダダはオスでした。性格は良かったけど、壁にオシッコをひっかけるマーキングがひどかった。去勢手術をしたけど時期が遅かったみたいで、オトナになっても治りませんでした。部屋中がオシッコだらけになって、引っ越すときに賠償金がものすごくかかったので、それ以降はメスです。
加藤 マーキングの原因、何かあったんじゃないんですかね。
海原 ちょっと思い当たるのは、ベランダ伝いに隣の家の猫がのぞきに来てたんです。
加藤 その猫もオスだったんじゃないですか?
海原 オスでした。
加藤 原因はそれですよ! 隣のオスが来るから、何とか自分のなわばりを守らなくちゃって思ってマーキングしてたんですよ。
海原 そうだったんですかね。お隣の猫はダダがメスだと思っていたみたいで、夜這いに来てたんです。で、その猫が亡くなったときにお隣さんからキャットフードをたくさんいただいたので、お悔やみを言いに行ったら、飼い主さんに「お宅の猫ちゃんのことが大好きで、初めての恋でした」って言われたんです。腎臓が悪かったんだけど、無理をして毎晩、会いに行っていたんだと。だから、うちもオスだって言えなくなっちゃって(笑)。
加藤 アハハハハハ。もしその人がこの記事を読んだら、「ええーっ! あの猫、オスだったの!!」ってショックを受けるでしょうね(笑)。
海原 いやいや、もうずいぶん前のお話ですから(笑)。