この国で、「女子」でいることはかなりしんどい。その2
北原 男性たちが自分を人間だと思うことが必要だと思うんですよ。こんなふうに(周囲に)エロ情報が氾濫していて、その上「男たちの欲望なんてこんなもんだ」と決め付けられていますが、「いや、違うでしょ、もっと優しい関係があるでしょう」と男の人自身が(人間性を)求めないとだめですよ。
この国では、エロや性産業って一大産業じゃないですか。経済的に回っている。供給する側はどんどん欲望を再生産していくようになっている。
雨宮 日本って特殊ですよね、これだけ男性が安全に手軽に性を買えるっていうこともそうだし、その性のサービスがとても細分化している。なのに、性教育はふわっとした感じで(きちんと教えないし)、一方で過激なAVとかが誰でも見られる状況になっている――。
この前、スイスの雑誌の取材を受けたんですが……。
北原 私も同じ取材を受けましたよ。日本のフェミニストに取材していますって言うから、誰かなと思ったら、私と雨宮さんだった。日本はどうなるんですかって、逆に心配されなかった?
雨宮 されました。私が、日本のおっぱいパブの話とかを記者の人にしたら、すごいショックを受けていました!
北原 その取材はどんなものだったかというと、3DのAIの「嫁」をお家に飼う装置が日本で発売されたんですよ。女の子のキャラクターが3Dになって投影されて、ちっちゃいボックスの中の女の子が、帰宅するまでに電気をつけておいてくれたりとか、帰ってくると「おかえり。ご飯にする? お風呂にする?」みたいなことを言ってくれたり、一緒にテレビとか見てくれたり……。
雨宮 命令すれば、AIだから家の電気もつけてくれる。ちっちゃい萌えキャラの嫁が家にいるってやつ。
北原 それを見て、スイスの人が「日本人はどうなるんでしょうか?」と心配してた。
「滅びると思います」と言ったら、納得されちゃって(笑)。だけど、そういう商品が日本で販売されたということを聞いて、驚かない自分がいた。
雨宮 なんで、スイスの人がこんなに怒っているんだろうと思いました。もう慣れちゃっているんですね、私たち。
スウェーデンとかヨーロッパの話を聞くと、もう小学校の頃から、セックスがいかに素晴らしいコミュニケーションかってところから、教えられる。セックスは素晴らしく大切なコミュニケーションであるっていう、前提をまず叩き込まれる。で、中学、高校でもう実践でしょ、コンドームの付け方とかの。そういったことを子どもは、周囲の大人や家族からも学ぶ。そんな性教育、日本ではないですからね。ジェンダー教育もね。
北原 日本の女性は、かわいそうだと言ってましたね。
雨宮 よく正気でいられるな、この国で。日本の女はって!
*「この国で、女子でいることはかなりしんどい。その3」につづきます。