性知識イミダス:射精・勃起のお悩みQ&A~男性の性機能障害とは?
イミダス編
(構成・文/加藤裕子)
Q4. 挿入するとすぐに射精してしまうので、パートナーを満足させていないのではないかと心配です。早漏は、治療したほうがいいでしょうか?
早漏とは、性交の際に腟にペニスを挿入してからすぐに射精してしまう状態です。一般的には「パートナーが満足できない間に射精してしまう」という定義になりますが、挿入後、「1分以内」「ピストン運動10回以内」に射精してしまう、などと定義されることもあります。海外では早漏について多くの研究があり、神経伝達物質のひとつであるセロトニンが関係していると考えられています。
海外で研究が盛んなのは、それだけ早漏で受診する患者が多いということを意味しますが、興味深いことに、日本では早漏の治療を希望する人が少なく、私がこれまで診察した早漏の患者も多くは外国人でした。
ただし、「国内成人男性の約3.5人に1人が早漏」(TENGAヘルスケア調べ 2017年)というネット調査もありますので、おそらく「自分は早漏だ」と悩んではいても診察を受けない男性が大半ではないかと推測されます。その理由についても推測するほかはないのですが、「早漏は病院に行くようなことではない」と思われているのかもしれません。
実際のところ、パートナーとの関係性が悪くないのなら、早漏を治療する必要は特にないともいえます。勃起障害と違って、危険な病気の前兆ではありませんし、精子が出ていれば妊娠にも支障はありません。
治療を希望するのであれば、セロトニンの働きを増強する「SSRI」という抗うつ薬が効果的とされています。薬以外では、射精しそうになったときに我慢することを何度も繰り返す行動療法があり、徐々に刺激を強くして早漏を治すトレーニングのための器具も販売されています。
Q5. マスターベーションでは射精できるのに、セックスで射精できません。パートナーとの関係が悪くなってしまい、どうすればいいのか悩んでいます。
これは、腟内射精障害、または重度遅漏ともいわれる現象で、近年、日本で特異的に増加しています。腟内で射精できないと自然妊娠が難しくなるため、男性不妊の大きな原因になっています。また、「射精できないのは、自分に問題があるのでは」とパートナーが傷ついてしまい、ふたりの関係に深刻なダメージを与えることも少なくありません。
腟内射精障害の主な原因となっているのは、不適切なマスターベーションです。床や壁にペニスを押しつける、いわゆる「床(ゆか)オナ」や、ペニスを強すぎる力で握るマスターベーションが習慣化すると、それより弱い腟内の刺激では射精できなくなってしまうことがあります。また、脚をまっすぐ伸ばし、力を入れて行う「脚(あし)ピン」というマスターベーションが癖になっている人は、そうした特定の体位以外での射精が困難になりがちです。ですから、このようなマスターベーションが習慣にならないよう、正しいマスターベーションを行うことが非常に重要で、既に習慣化してしまっている場合はリハビリが必要になります。
他には、心理的な問題やAV等のバーチャルな情報で満足してしまうなど、様々な原因が考えられ、これらのケースではカウンセリングが必須です。腟内射精障害は治療に時間がかかることも多いので、不妊治療中で子どもを授かることを目標としているカップルならば、腟内射精障害の治療と並行して、人工授精などを試みることも、ひとつの対処法といえるでしょう。
Q6. 射精した感覚はあるのに、精液がほとんど出てきません。精子が少ないのではないかと心配です。
精液の量と、そこに含まれる精子の数にはあまり相関関係がありません。また、精液の量は、体調などによって日々異なります。ただし、「以前に比べて精液が減ってきた」という場合は加齢が影響していることが多く、実際に、35歳をすぎると精液量と精子の運動率が低下していくことがわかっています。自然妊娠には1.5ミリリットル以上の精液が必要とされるので、男性にとっても加齢は不妊の原因になりうるということです。
精液がほとんど出てこない原因としてもうひとつ考えられるのは、精液が前立腺から膀胱内に逆流してしまう状態になっていることです。これを「逆行性射精障害」といいます。逆行性射精障害では射精した感覚はあるのに精液が非常に少量しか出なかったり、まったく出なくなったりします。また精子は尿に触れると機能が弱ってしまうので、そのこと自体が男性不妊の原因になります。
逆行性射精障害の多くは、糖尿病や手術などによる神経切断等によって起こりますが、8割近くの患者は「アモキサピン」を使用する薬物治療で改善が見られます。前立腺肥大治療薬の服用が原因となっているケースもあるので、この場合は治療薬を別のものに代えられるかどうか、医師に相談してみてください。
Q7. 射精するときに痛みがあります。何かの病気でしょうか?
患者数としては少ないですが、射精するときに肛門や性器の周りに痛みや灼熱感が生じることがあり、これを射精痛といいます。
原因は多岐にわたり、精液の通り道(精巣~前立腺~尿道)の炎症、性感染症、前立腺がんや前立腺がんに対する手術の後遺症、心理的要因など様々です。原因不明ということも珍しくありません。
治療としては、原因を探りつつ、基本は抗生物質で炎症を和らげるなどの対症療法になります。たとえ原因がわからなくても痛みを緩和することはできますので、痛いと感じたら決して我慢せずに早めに受診することをおすすめします。