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性知識イミダス:性感染症の基礎知識

イミダス編

(構成・文/加藤裕子)

特徴:単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1型)または2型(HSV-2型)の感染により性器に痛みを伴う浅い潰瘍または小水疱(すいほう)ができる。性器ヘルペスは主に2型による感染だが、口唇ヘルペス(主に1型で起こる)もオーラルセックス等で性器に感染する。女性の性感染症ではクラミジアに次いで多く報告され、男性でも3番目に多い。また、男性はオーラルセックスによる感染が増加している。
 潜伏期間は3~7日で、ウイルスが性器に感染すると神経をさかのぼって腰仙髄(ようせんずい)神経節(骨盤内の神経節)に潜伏感染する。無症状であることも多いが、ストレスや疲労などなんらかの刺激によってウイルスが活性化すると性器の皮膚や粘膜に発症する。他のヘルペスと同じく、治療によって症状がなくなってもウイルスは体内に残り、再発を繰り返すこともある。性器ヘルペスの約80%が再発例である。

年間新規感染者数:9413件(2019年。定点報告)

症状:症状が現れないことも多いが、感染機会から2〜10日後に性器に直径1~2ミリメートルほどの水疱やただれが複数できる、痛み、かゆみ、発熱、足の付け根のリンパ節が痛んだり腫れたりするなどの症状があり、痛みが強い場合は、女性では排尿や歩行が困難になることもある。
再発時の症状は初感染のときよりも症状は軽いが、性器のかゆみや違和感、痛みなどが生じることが多く、4日~2週間で治癒する。再発する数日前あるいは数時間前から、下肢痛、腰痛、局所のかゆみ、違和感、疼痛などの前兆が起こることもある。

治療方法:2~3週間で自然に治るが、抗ウイルス剤の投薬により1~2週間で治すことができる。

「1年間に6回以上の再発を繰り返す患者さんには、再発症状が出ていないときも継続的に服用し、ウイルスの増殖を抑える薬を保険適応で処方できます。これにより、再発抑制だけでなく、パートナーへの感染を防ぐこともできます」(尾上先生)


性器カンジダ症(真菌症)

特徴:真菌(カビ)の一種であるカンジダ属によって起こる性器(外陰・腟)の感染症。男性がかかることは少なく、患者はほぼ女性である。セックスによる感染は約5%で、体内に存在することも多く、感染経路は多様。潜伏期間は長く、数年に及ぶこともある。腟の洗浄などによって腟内に生息する常在菌がいなくなり、自浄作用がなくなったことで発症したり、抗生剤や風邪薬の服薬、抵抗力が落ちた時など、なんらかの誘因によって発症したりする。

症状:女性では、外陰部や腟の強いかゆみ、ヨーグルト状の白いおりもの、おりものの臭い、性器の痛み、性交痛など。男性の場合は亀頭包皮炎として発症し、亀頭が赤くただれたり、かゆみが出たりする。水疱が出るときもある。
治療方法:抗真菌剤の軟膏やクリーム、腟錠(腟坐剤)など。1~2週間で大半の患者が治癒する。


ケジラミ症

特徴:吸血性昆虫であるケジラミ(体長0.8~1.2mm)が寄生することで発症する。主に性行為で陰毛が直接接触することで感染するが、毛布やタオル、シーツ等を介して感染することもある。1匹のケジラミは1カ月ほどの生存期間中に30~40個の卵を産み、7日前後で孵化して増殖していく。ヒトに寄生するシラミには3種類あるが、他の2つ(アタマジラミ、コロモジラミ)は性的接触が主な感染経路ではないので、性感染症に数えられていない。血を吸ったケジラミは茶褐色になるため目視で確認できるが、そうでない場合は見つけにくい。

症状:感染から1~2カ月後、ケジラミが寄生した体毛が生えている場所にかゆみを生じる。かゆみの原因は、ケジラミが吸血する際に人間の体内に入りこむ唾液成分だと考えられている。かゆみの程度には個人差がある。また、症状が出ない場合も多い。

治療方法:市販薬のシラミ駆除シャンプー(「スミスリンLシャンプー」、「スミスリンパウダー」〈ともに登録商標〉など)を寄生箇所に使用する。卵には効果が弱いため、卵が孵化する期間を見込み、3~4日間ごとに3~4回、使用を繰り返す。パートナー間、また親子間での感染の可能性もあるため家族での治療が必要となる。

「ケジラミが寄生するのは陰毛だけではなく、陰毛、肛門周囲の毛、脇毛、胸毛、すね毛、ヒゲ、眉毛、まつげなどにも寄生すると言われます。ですから、ケジラミが寄生した体毛を剃ると、別の体毛へと移動、拡散してしまうのです。ケジラミの治療では剃毛はせず、一カ所に集めた状態で一網打尽にするのが効果的です」(尾上先生)


尖圭(せんけい)コンジローマ

特徴:ヒト・パピローマウイルス(HPV)の性器への感染によって性器や肛門周辺にイボができる性感染症。イボの中にウイルスが生息し、性的接触によって体内に侵入する。現在180種類以上が確認されているHPVの内、尖圭コンジローマの原因となるのはほとんど6型と11型(子宮頸がんの原因となるHPVは16型、18型)。再発率が高く、3カ月以内に15~30%が再発すると言われる。

年間新規感染者数:6263件(2019年。定点報告)

症状:感染機会から数週間~3カ月の潜伏期間を経て、外陰部(男性の場合、亀頭、陰嚢〈いんのう〉など。女性の場合、大小陰唇、会陰〈えいん〉、腟前庭)や肛門周辺、女性の場合は腟壁や子宮腟部などに乳頭状の先の尖った小さなイボが多数発生し、成長してカリフラワーや鶏のトサカのような形になる。痛みやかゆみはないケースが多い。
治療方法:塗り薬、外科的治療(凍結療法、レーザー焼灼術、切除など)。

「性器にできたブツブツは、性感染症とは限らず、単なる生理的な変化の場合もあります。男性の亀頭冠に沿ってできる真珠様小丘疹(しんじゅようしょうきゅうしん)は、日本人男性の40%に見られ、女性の場合は小陰唇にできることもあります。また、女性の腟前庭にできる小さなブツブツは腟前庭乳頭症と呼ばれ、日本人女性の20~30%で見られます。いずれも専門家でないと尖圭コンジローマとの見分けは難しく、正確な診断には組織検査が必要となります」(尾上先生)


腟トリコモナス症

特徴:目に見えない微細な腟トリコモナス原虫が性器に侵入することによって炎症が起こり、男性より女性に強く症状が出る他、妊娠中に感染すると早産になることもある。主に性行為で感染するが、下着やタオル、浴槽などを通じて感染することもある。近年は減少傾向にある性感染症。

症状:1~3週間の潜伏期間を経て発症する。女性の場合、悪臭が強く、黄緑色で泡状のおりものが増加し、外陰部、腟の強いかゆみ、セックスや排尿時の痛みがあるが、約30%で症状が見られない。男性の場合は、ほとんどが無症状で、尿道炎による排尿時の痛み、頻尿、前立腺炎を起こすこともある。

治療方法:腟トリコモナス剤(経口薬)を10日間服用する。妊婦の場合腟錠を使用する。


HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症/エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)

特徴:HIV(Human Immunodeficiency Virus)は血液、精液、腟分泌液、母乳と言った体液に多く存在し、主な感染経路は、性行為による感染、血液による感染、母子感染である。涙、唾液、尿、便などからの感染はなく、感染力も他の性感染症に比べると弱い。HIVが体内に入ると、数年~数十年かけて血液中の免疫細胞に感染し、体の免疫力を低下させる。その結果、健康体であれば免疫力で抑えられるウイルスや細菌などが原因の病気(日和見感染症)を発症する(エイズ)
 梅毒や淋病などの性感染症はエイズの罹患リスクを高める。日本での感染者は男性が多いが、世界的には女性のHIV感染者も増えている。

年間新規感染者数:1095件(2020年。うちHIV感染者750件、エイズ患者345件)

症状:HIVに感染して2~6週頃(初感染期)、50~90%の感染者に発熱、のどの痛み、筋肉痛や頭痛などの症状が見られる。
 初感染期の症状が治まった後、無症候期(数年から数十年)を経てエイズ期に至る。カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)、ニューモシスチス肺炎サイトメガロウイルス感染症HIV消耗性症候群(全身衰弱)など23の代表的な疾患のいずれかを発症した時点で、エイズと診断される。これら23の疾患の複数を発症することもある。

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イミダス編

いみだすへん

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