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性知識イミダス:性感染症の基礎知識

イミダス編

(構成・文/加藤裕子)

治療方法:現在は多くの抗HIV薬が使用可能で、副作用も少ない。HIVウイルスを体内から消滅させることはできないが、エイズ発症前に治療を始めれば、ウイルスの増殖を検出限界以下にまで抑えることで、エイズ発症を5%以下に抑え、他人への感染も大幅に防ぐことができる。エイズ発症後も治療方法は変わらない。現在、エイズによる死亡率は10~20%となっている。

「HIVに感染しても、初期はインフルエンザと似たような症状であるために気づきにくく、検査を受けなければ感染しているかどうかわかりません。検査は通常、感染機会から2カ月後から受けられ、中には2週間後からできる検査もあります。エイズ発症前に早期発見・早期治療をすることで発症や重症化を抑え、通常の生活を送り、天寿を全うすることができます」(尾上先生)


A型肝炎

特徴:A型肝炎ウイルス(HAV)が肝臓に炎症を起こす感染症で、感染力は強い。感染者の便に含まれるHAVが飲み水、野菜、魚、牡蠣やアサリといった貝類などを汚染し、それらを摂取する、あるいは感染源を触った手で口に触れることで感染するケースが多い。特に衛生状態が悪い国や地域では注意が必要だが、リミング(肛門を舐める口腔性交)や肛門性交による感染も増えてきている。予防はコンドームではできず、手洗いを基本とする他、ワクチン(3回接種でほぼ100%の免疫ができる)が有効。

年間新規感染者数:425件(2019年。全数報告)

症状:感染機会から2~7週間で、発熱、全身倦怠感、吐き気、嘔吐などの症状が現れ、続けて黄疸(おうだん)の症状が出るのが特徴。多くは2~3カ月程度で自然に治り、慢性化することも少ないが、稀に重症化(劇症肝炎)する。乳幼児が感染した場合は無症状か軽症ですむことが多く、一度感染すると免疫ができる。
治療方法:自然治癒まで安静に過ごす他、対症療法として点滴や薬を用いる。


B型肝炎

特徴:B型肝炎ウイルス(HBV)が肝臓に炎症を起こす感染症で、感染力は強い。HBVは血液、精液、腟分泌液等に多く含まれ、感染経路は性行為感染、母子感染、血液感染である。「急性」と「慢性」があり、成人が初めて感染して発症したものが「急性B型肝炎」と呼ばれる。急性B型肝炎として症状が出るのは3分の1程度だが、自覚症状が出ないまま放置しておく中で慢性B型肝炎に進行し、肝硬変肝がんになることもある。また、母子感染したケースで慢性化することもある。
 予防はコンドームが基本で、ワクチン(3回接種)接種も推奨され、乳幼児の定期予防接種に含まれている。

年間新規感染者数:257件(2019年。全数報告)

症状:急性の場合、感染機会から1~2カ月程度の潜伏期間を経て、倦怠感、食欲不振、濃い色の尿が出る、発熱などの症状が出て、続けて黄疸が現れる。劇症化(1%以下)しなければ、1カ月程度で自然に治る。
慢性の場合は、症状が出ないままの状態が続くことが多いため、肝硬変、肝がんに移行することもある。

治療方法:急性の場合はほとんど自然治癒する。慢性B型肝炎は、免疫を調節する作用のあるインターフェロンと、ウイルスの増殖を抑える薬を服用し、肝機能障害の進行を遅らせる。

「B型肝炎ウイルスに成人が感染した場合、慢性B型肝炎に進行することはほとんどないと言われてきたのですが、近年は約10%が慢性肝炎に移行する新たなタイプのウイルス(遺伝子型A)の出現により、特に都市部の若者を中心に慢性化するケースが増えてきています。このウイルスはMSM(Men who have sex with menの略。同性間または両性間で性的接触をする男性のこと)の間での感染も多く、HIVとの重複感染も多数報告されていますので、積極的なワクチン接種をおすすめします」(尾上先生)


C型肝炎

特徴:C型肝炎ウイルス(HCV)が含まれた血液を介して感染し、肝臓に炎症を起こす感染症。性行為では、アナルセックス(肛門性交)などで粘膜が傷つくことにより感染する。感染しても無症状のことが多く、また感染者の60~70%が慢性肝炎に移行し、放置しておくと肝硬変、肝がんへと進行する可能性がある。C型肝炎を予防するワクチンはなく、定期的な検査による早期発見が重要。

年間新規感染者数:31件(2019年。全数報告)

症状:感染機会から2~3カ月で急性肝炎を起こすが、体がだるい、食欲不振など軽い症状であることが多い。

治療方法:安静にして食事療法、投薬などを行う。自然治癒せずに慢性化したときは、免疫を調節する作用のあるインターフェロンの大量投与により高い治療効果が認められる。


非クラミジア性非淋菌性尿道炎

特徴:クラミジアと淋菌以外の菌が起こす尿道炎で、性行為によって感染する。原因と考えられる菌にはさまざまなものが考えられ、ヘルペスウイルスアデノウイルスなどの他、マイコプラズマウレアプラズマが挙げられている。「ピンポン感染(パートナーとの間で感染させあうこと)」を防ぐために、パートナーとの同時治療が必要。

症状:クラミジアと似た症状で、1~5週間の潜伏期間を経て、尿道分泌物、排尿痛、尿道のかゆみ、不快感など。女性の場合はさらに、腟のかゆみ、おりものの異常などが起こることもあるが、無症状であることも多い。

治療方法:抗菌薬を服用する。


赤痢アメーバ症

特徴:感染者の便に排出された赤痢アメーバという微生物に汚染された飲食物を口にすることで感染する。性行為では、リミングアナルセックスにより感染する。温かい地域の途上国で多く見られるが、先進国でもMSMの間での流行が認められる。感染者のうち発症するのは5~10%で、アメーバ性大腸炎アメーバ性肝膿瘍(かんのうよう)を発症することもある。症状は軽快したり悪くなったりしながら数週間程度で慢性化するが、通常の社会生活をおくることができる。潰瘍性大腸炎と混同されやすく、注意が必要である。ワクチンがないため、予防には手指の衛生管理が重要。

年間新規感染者数:853件(2019年。全数報告)

症状:2~4週間の潜伏期間を経て、腹痛、下痢、いちごゼリー状の粘りのある便などが見られる。発熱や肝臓の腫れが生じることもある。

治療方法:10日間、飲み薬を服用する。

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イミダス編

いみだすへん

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