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連載

生活保護世帯出身者の大学進学 ~教育の機会均等を守るために

第24回

大内裕和(武蔵大学教授)

 世帯分離制度は、2020年度から施行の「大学等における修学の支援に関する法律」との整合性でも問題があります。以前、私はイミダスに寄稿したオピニオン「『高等教育無償化』のウソ」の中で、この法律が高等教育無償化とはほど遠い内容であることを批判しました。しかし、大学・短大・専門学校進学者に対して授業料減免と給付型奨学金をセットで行なうことは、生活保護世帯を含む困窮世帯の出身者への学費支援制度としては有意義だと言えます。

「大学等における修学の支援に関する法律」で生活保護世帯出身者の大学進学を支援する一方で、進学を妨げている世帯分離を維持するのでは整合性が取れません。この点からも世帯分離を廃止すべきです。

 同時にケースワーカーのほうも見直すべきです。生活保護世帯の子の大学進学に一定の条件がある以上、相談や指導業務にあたっては十分な知識を持つことが重要です。また、大学進学について養育者や当人とのコミュニケーションを十分に取ることも求められます。これらのためにもケースワーカーの増員や、労働条件の改善がなされなければいけません。

 根本的な課題としては、世帯分離制度の根拠となっている勤労原則と扶養原則の問い直しです。憲法26条の「教育を受ける権利」は、普遍的に保障される必要があります。生活保護世帯の出身者にだけ、それを諦めさせるような勤労原則と扶養原則がついて回ることは、果たして妥当だと言えるでしょうか? 私は、「教育を受ける権利」を保障する点からも、現行の生活保護制度は見直すべきだと考えます。

 私は本連載23回「『親ガチャ』問題を考える」 で、親の経済力や行動によって人生が決まってしまう現代社会の若者の背景を考察しました。生活保護世帯出身者の大学等進学率の低さは、子どもの進路が親の経済力によって制限されていることを明確に示しているという点で、「親ガチャ」問題の典型例の一つであると思います。「親ガチャ」問題解決の第一歩として、この状況を改善すべきであると考えます。

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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