文科大臣も「?」となった都立高入試英語スピーキングテストの構造的問題
大内裕和(武蔵大学教授)
受験生とその保護者は、12月上旬の三者面談で仮の内申点を見て、私立高校の推薦と都立高校の第一次募集・分割前期募集の志願先を選定します。そして1月上旬に成績表で調査書点(実際の内申点)が本人やその家族に知らされ、そこで志望校を最終的に決めるのが例年のスケジュールだと教育関係者からうかがいました。
しかし「ESAT-J」の結果が年明けの1月中旬に返却されるとなると、そこで調査書に最大20点の変化が生じることになります(若者のミカタ「都立高入試英語スピーキングテスト『20点』の謎」)。結果によっては、出願直前に一度決めた志望校を変更しなければならない場合も出てくるかも知れません。都立高校の第一次募集・分割前期募集の出願時期は例年1月末~2月初旬なので、ぎりぎりのスケジュールとなり受験生・保護者・教員それぞれに大きな不安や動揺、混乱をもたらす危険性があります。
◆◆
推薦入試を受験する場合は「ESAT-J」の結果が調査書に記載されない、というのも大きな問題です。22年度の都立高校推薦入試の募集定員は9175人でした。これは、都立高校の全日制全体の募集定員3万306人の約30.3%にも達します。この生徒たちについても伯井局長が言う「その後の高等学校における英語指導の改善にも資する」は該当しなくなります。私立・国立高校への進学者だけでなく、都立高校への進学者の中でもこれだけ多くの生徒がその結果を活かすことができないのは、「ESAT-J」を活用する都立高校入試制度の大きな欠陥ではないでしょうか。
この構造的問題を解決すること抜きに、都立高入試に英語スピーキングテストを導入してはならないと私は考えます。