都知事選も終わった。次は学費値上げとの戦いだ! 〜オンライン署名で連帯へ
大内裕和(武蔵大学教授)
この法律を制定した狙いは、奨学金制度改善運動の広がりが、政府の「受益者負担」論に基づく教育政策批判へ発展するのを回避することにありました。一部の低所得層を「無償化」の対象とする「選別主義」によって学費や奨学金問題の矮小化をはかり、低所得層とそれ以外の層との間に「分断」を促進できます。一方で、中間層以上に高額の学費負担を続けさせることによって、「高等教育費の受益者負担はやむなし」とする意識を継続させることが目指されました。
大学等修学支援法は低所得層と中間層以上との連帯を断ち切り、分断を生み出すことで、「受益者負担」構造の根本的転換を回避することが狙いなのです。
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私たちの「政策提言」は、政府の大学等修学支援法に対抗したプランとなっています。第一に「授業料を半額に」という「普遍主義」の導入です。これまでの奨学金運動が目指してきたのは「選別主義」の改善で、対象となる奨学金利用者の返済負担軽減や支援については重要な成果を上げてきましたが、しかし「選別主義」には大きな弱点がありました。支援を受けられる人と、受けられない人の「分断」をもたらすことです。対して「普遍主義」はすべての学生を対象としますから、そうした「分断」を引き起こすことはありません。よって、今回のオンライン署名提言の1では明確に「授業料を半額に」としました。
提言の2にある「大学等修学支援制度の対象を多子世帯や理工農系に限定することなく年収600万円まで拡大」は、支援の対象を現在の低所得層から中間層まで拡大することを意味しています。これによっても「分断」を大きく緩和することができます。
提言の3に「奨学金返済の負担軽減を」と掲げたのも、「分断」を回避したい狙いからです。給付型奨学金の導入・拡充をはじめ、新規の奨学金利用者にはかなりの制度改善がなされていますが、新規以外の利用者については対策が十分には進んでいません。この点を重視して、すでに利用している人たちの奨学金返済負担軽減を強く打ち出しました。
学費負担を軽減し、「すべての人が学べる社会」を実現するためには、活動の上でも「分断」を回避し、「連帯」を広げていくことが何よりも重要です。東京大学、広島大学をはじめとする現役学生たちの活動と、私たち市民の活動が結びついて「連帯」の輪が広がった時、国立大学の「学費値上げ」を阻止し、さらに学費負担軽減へと転換させる可能性があると私は思います。