第11回 とよた真帆さん(女優)
加藤 とよたさんにとって、猫はどんな存在ですか?
とよた 人生の中で切っても切れないもの。マブだちですね。「マブ猫」と書いて「マブだち」。
加藤 いいですね、その感覚。「うちの子」じゃないんですよね。
とよた そうなんです。私たちが仕事で不在になるときには、母に世話を頼むんですが、ロケ先から電話をして「かわいい子どもたちに会えなくて寂しいでしょ」とか母に言われると、ぞっとするんです。「子ども」っていう感覚は猫に対して全くないです。
加藤 私も同感ですが、「子ども感覚」の人は多いですよね。うちの次男が、長男がと言うから、人間の話だと思って聞いてたら猫のことだったってこともよくあります(笑)。
とよた 私は、一つの個性として認めてるというか、子ども扱いではなく、対等な「オトナ」としてつき合っているかな。だから、かわいいけれどもマブ猫。私は猫とよく話はしますよ。なるべく話しかけて、言葉をたくさん覚えてほしいと思ってるんです。
加藤 何をしゃべってるんですか? 猫に対して。
とよた たとえば、水を指さしながら「水、みず」とか、私を指さしながら「真帆、まほ」と単語をくり返し言うのです。だいぶ覚えてきましたよ。マタタビなんか「マタタビ~」と言っただけで、みんなマタタビのある場所に集合しますし、「ごはん」「お風呂」とか、それぞれの名前なんかはわかりますしね。
加藤 なるほど。
とよた もっと会話が成立したらいいなと思ってます。でも、猫には猫どうしの会話がありますよね。言葉ではないけれど、空気感でしゃべっているというか。
加藤 確かにね。気に入らないとイチャモンつけたりするわけですからね。話は変わりますが、とよたさんのエッセイの中に、猫が引き出しの奥に入って寝てたというのがあったでしょ。あれ、おもしろかったです。
とよた ありがとうございます。キッチンに炊飯器が置いてある引き出し式の棚があるんですが、中途半端に開いてて「おかしいな?」と思って、少し押したらぐにゅ~っていう手応えがあって……。見たら、引き出しの後ろの奥で茶々丸が寝てました(笑)。
加藤 気づかずに思い切り閉めたら大変(笑)。
とよた うちの場合はどこでも出入り自由なので、開いてたらまず怪しむという癖がついています(笑)。キッチンの引き出しは押すと開いてしまうつくりなので、少しでも開いてると猫たちが勝手に入っていることは多々あります。何回閉めても開けるから、まあいいか、毛だらけになったら私が掃除すればいいだけのことだよね~って。基本的に我が家では猫を尊重していますから。
加藤 猫尊重、わかります。うちにもフィオちゃんに似ている、18歳になった「まる」という年寄り猫がいるんですが、足腰が弱ってきて、私が寝ているベッドに上がるときに転落するようになったんです。しかたがないので猫階段をつけたんですが、階段の途中から落ちるようになり、猫階段を二つ並べたんですがダメで、ついに私がベッドを放棄して布団で寝るようにしました(笑)。そうすれば、もうまるはベッドに上がる必要はないので、転落もしない。
とよた 確かに! 皆さん、やっぱり猫に支配されてますね。
加藤 基準が猫にある。
とよた 私もそうです。「ルールがないのがルール」みたいなところがあって、暮らしの中心に猫がいて、猫に巻き込まれよう、みたいな。
加藤 それが幸せ! 結局は、人間が猫に従えっていうことだけですね。ありがとうございました。
◆一筆御礼 ~対談を終えて
とよたさんは猫たちのことを「キャツら」と言い、「猫はルームシェアをしているマブ猫(マブだち)だ」と言う、知的でサッパリとした性格を思わせる人でした。とよたさんちのマブ猫の様子は、新刊『もふもふ猫まみれ』を読むとよくわかります。とよたさんが撮影した数多くの写真も見ていて飽きません。ぜひ手にとってください。「TOKYO ZEROキャンペーン」へのご協力もお願いします。最後に、とよたさんちの猫たちが言葉を覚えるのは、彼女の声に理由があるのだと思います。私同様、猫たちも彼女の声が好きなのだと確信します。
撮影:上山忍
*の写真はとよた真帆さん提供