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性知識イミダス:DSD(性分化疾患)について知ろう(後編)~「性別を判定する」とはどういうことか

イミダス編

(構成・文/加藤裕子)

「完全型AIS」のところでも述べたように、思春期以降の無月経など第二次性徴が起こらないことや、「生まれの性別」とは異なるからだの変化をきっかけに受診し、DSDをもっていることがわかるケースも見られます。この時期の対応として特筆しなければならないのは、本人の同意なく治療を進めないということです。思春期特有の心理状態も十分に考慮しつつ、丁寧かつ慎重に、正確な情報を伝え、本人が自分のからだの状態を受け入れられるよう、フォローしていきます。

 成人となってからは、不妊治療がきっかけとなってDSDがわかることもあります。ただ、こうしたケースはDSDというより不妊症と捉えられているのではないかと思います。もちろん、個々の症状によっても変わってくることではあるのですが、DSDは妊孕性という点で困難を抱える可能性が大きいという傾向があります。男性のDSDの場合は、精巣の形成や男性ホルモンの分泌が十分でないことなどで起こる造精機能障害が不妊症の原因となります。
 一方、女性のDSDでは子宮や卵巣、ちつが欠損していることなどが原因で不妊となります。近年の生殖医療技術の進歩により、妊娠が可能になるケースも見られはじめていますが、子宮移植等、日本ではまだ一般的に普及していない技術もあります。妊孕性の有無によって恋愛や結婚をあきらめたりすることがないよう、やはり丁寧な情報提供を行っていくことが大切です。

 ――外性器等の手術を行うのはどのようなケースでしょうか。また、手術以外に治療が必要になることもありますか。

 たとえば一般的な女性型の外性器ではないケースで女児と判定した場合には、陰核や陰唇を形成するなど、女性の外性器に整えるべく手術を行うことがあります。その他、腟の発達が十分でない女性は、性交渉や経腟分娩が可能な腟を形成する手術を必要とすることもあります。
 また、今ある外性器をできる限り残すというのも選択肢のひとつです。一度取ってしまったものを完全に元に戻すことはできないからです。
 外性器を整える以外では、発生の過程で腹腔内にあった精巣が陰嚢いんのう内に降りきっていない「停留精巣」のケースは、妊孕性に影響も出るため、早めに手術をした方がよいと言われています。
 これらの手術は簡単というわけではありませんが、手術方法は進歩しており、経験豊富な医師が行えばあまり心配することはありません。

 内科的治療ということでは、乳幼児期や思春期の適切な時期に、男性ホルモンや女性ホルモンの補充療法を行うこともあります。ただ、原則としては、DSDをもっていることは発達や運動機能に影響しませんし、注意が必要な合併症などのフォローが必要なケースを除けば、特別な治療は必要ないと言えます。
 DSDは性というデリケートな問題にかかわることですので、むしろ精神面での悩みがついて回るのではないかと思います。なかなか周囲に相談しづらいということもあり、側からは元気そうに見えても、臨床心理士や遺伝カウンセラーなどによるサポートが必要なこともあるでしょう。その機会をつくるためにも、私が勤める大阪母子医療センターでは、特に症状はなくてもフォローアップのために年に1回ぐらいは病院に来てもらうようにしています。

 ――たとえば学校などで集団生活を送るとき、外性器の見た目などが気になって、トイレや着替え、入浴等に抵抗を感じるということはないのでしょうか。

 特に男の子の場合、手術をしても陰茎の形が皆と少し違うということが多いので、本人が自分の外性器を恥ずかしいと思わないよう、小さい頃から「それは病気ではなく、悪いものでもないから大丈夫だよ」「手術をしたからそういう形になっているんだよ」と正直に理由を説明していきます。大阪母子医療センターでは、5歳頃から年齢や成長に応じた表現で、その子のからだの状態について情報提供を行っています。子どもが自分の体質を理解し、受け入れられるようになるためには、医療者は子どもが疑問を持ったことについて隠し事をしたりはぐらかしたりせず、正確な情報を伝えることが大切です。
 それでもやはり気になってしまうときは、医学的理由で宿泊行事等のお風呂を別にしてもらうなど、学校に対応を頼むこともできると思います。とはいえ、外性器の形が気になるというのは、特に思春期であればよくあることでしょう。DSDに限らず、外性器の形が周りと多少違っていても、隠すのではなく、受け入れることができるような社会になってほしいと思います。DSDが「異常」や「病気」ではなく「体質の個体差」であるという考え方に変わってきたように、時代と共に「周りと違う」ことへの理解が広がっていくことを願っています。

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イミダス編

いみだすへん

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