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連載

子ども――社会を映し出す鏡

第15回

吉田徹(同志社大学教授)

 ビリーが踊るのをみた父ジャッキーが心変わりした理由は、映画のなかではあまり詳しく触れられていません。それでも、ただただ踊ることに喜びを覚えるビリーをみた彼が、自分たちが仲間とともに作ってきた歴史はもはや過去のものになりつつあること――地方から都市へ、共同体から個人へ、職業から才能への社会の移り変わりという新自由主義の時代――を悟ったからこそ、ビリーの才能を見出すことができたのだといえます。

 冒頭に紹介したパットナムは「子どもは社会の先行指数だ」と指摘します。社会のしわ寄せを子どもたちに押し続けている社会に未来はないでしょう。彼ら/彼女らを大事にしない社会は、彼ら/彼女らからもはや大事にされないからです。子どもたちに最善のものを手渡しつつ、その背中をそっと押してあげること――子どもたちが社会の矛盾を一気に背負わされている現状を変えるためには、まずはそこから始める必要がありそうです。

著者情報

同志社大学教授

吉田徹

よしだ とおる

1975年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門は比較政治学、ヨーロッパ政治。著書に『ミッテラン社会党の転換』(2008年、法政大学出版局)、『二大政党制批判論』(2009年、光文社新書)、『ポピュリズムを考える』(2011年、NHK出版)、『感情の政治学』(2014年、講談社)、『「野党」論』(2016年、ちくま新書)、『アフター・リベラル』(2020年、講談社現代新書)などがある。

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