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性知識イミダス:妊娠・出産を知ろう(メカニズム編)

イミダス編

(構成・文/加藤裕子)

「この時期までに意識してほしいことのひとつが葉酸の摂取です。葉酸はおなかの赤ちゃんの発達に必須の栄養素で赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを軽減しますし、妊婦さんの貧血予防などにも効果的なので、特に12週に入るまでは葉酸を1日400〜600マイクログラム摂取することが推奨されています。これはほうれん草1把分にあたる量です。この時期は妊婦用のサプリメントを利用するのが無難ですが、12週以降は野菜を多めに摂るなど、食事からでも必要な量は十分に摂取できます。
 また、妊婦は貧血になりやすいので、普段から赤身の肉や魚など鉄分が多い食品を多めに食べるようにしましょう。もし妊婦健診で貧血と言われたら、足りない分は処方される鉄剤を飲むなどして補ってください」(西先生)

・妊娠中期:妊娠16週0日〜27週6日
 妊娠16〜19週になると、下腹部のふくらみ、乳房が大きくなるなど、体型の変化が目立ち始める。乳腺から黄色い分泌物が出ることもあるが、心配はいらない。胎児の身長は約25センチ、体重約270グラム。胎動を感じ始める。
 妊娠20週から産後12週までは、妊娠高血圧症候群(妊婦20人に1人の割合で発症し、重症になると胎盤の機能が悪化し、胎児に十分な酸素や栄養が行かず、早産、未熟児、死産になることもある)に注意。塩分を控え(1日7〜8グラムを目安に)、体重を増やしすぎないように。
 妊娠中期の終わり頃になると、おなかが前にせり出して腰や背中が痛んだり、便秘がちになったりする。痔、静脈瘤に注意。胎児は身長約36センチ、体重は約1000グラムぐらい。
※母体保護法により、子宮外生育が可能とされる妊娠22週以降になると人工妊娠中絶は認められなくなる。

「妊娠中の栄養指導は体重の増えすぎに注意するというイメージが強いですが、最近は『もっと体重を増やしましょう』と指導することが増えています。理由としては、自分の体型に対する意識が強くなってきていることが挙げられます。栄養が摂れるにもかかわらず、あえてエネルギーを摂りすぎないため、望ましいと言われている体重増加に至らないのです。その結果、小さめの赤ちゃんが生まれてくるということが起こりやすくなるのですが、低出生体重児は大人になったときの生活習慣病のリスクが高い(糖尿病、高血圧など)ということが明らかになっています。赤ちゃんの将来の健康も考慮して、かかりつけ医の指導を受けながら妊娠時から出産直前までの体重増加は10〜12キログラムの範囲になるようにしましょう」(西先生)

・妊娠後期:妊娠28週0日以降
 おなかはますます大きくなり、手足がむくみやすくなる、食欲がなくなる、動悸や息切れがするなどの症状が増える。体調が悪いときは無理せず横になり、異常があれば病院へ。この頃から子宮が少しずつ収縮しながら子宮の出口が広がっていき、おなかの張り(腹部が固くなる、重くなる、痛くなるなど)を感じるようになる。健診で子宮の出口が広がっていなければ、1時間に1〜2回(妊娠32週以降は1時間に2〜3回)おなかの張りがあっても、異常ではない。妊娠37週以降は、いつでも出産できるよう準備しておく。
 妊娠後期の終わり頃には、胎児は身長約48〜50センチ、体重3000〜3200グラムになる。陣痛(出産直前に起こる子宮収縮と、それに伴う痛み)などの兆候に注意。

・予定日より早い出産、遅い出産
 胎児の平均在胎日数が280日プラスマイナス15日であることから、分娩予定日は妊娠40週に設定されており、37週0日〜41週6日を正期産と呼ぶ。早産(妊娠22週以降から37週未満までの出産。全分娩の5%程度)では生まれた赤ちゃんの生存率が低くなる他、赤ちゃんに障害が発生したり感染しやすくなったりするリスクが高くなるため、切迫早産(早産となる危険性が高い状態)と診断されたら、早産を避けるべく、医師の指示に沿って過ごす。健診を受け、出血やいつもと違うおなかの張りを感じたら診察を受ける。
 過期産(42週以降の出産、全分娩の1%程度)では、羊水の減少や混濁、巨大児などのリスクがあるため、医療介入により過期産になる前に分娩を行うことが多くなっている。

〈出産の経過〉

[図4]正常分娩の経過

『病気がみえる vol.10 産科 第4版』(メディックメディア)
などをもとにイミダス編集部作成

・出産の前兆
 出産が近づくと子宮が収縮することで赤ちゃんを包んでいる卵膜がはがれ、おしるし(血液の混じったおりもの)が出る。量や色には個人差がある。出産までに時間はかかるが、産科・産院に連絡を。個人差があり、いきなり陣痛がくる人もいる。10分ごと、あるいは1時間に6回など一定の間隔で子宮収縮が起こるようになったら、陣痛の始まり。個人差はあるが、陣痛開始から初産婦で12〜16時間ほど、経産婦で5〜8時間ほどで出産となる。陣痛が来る前に破水(卵膜が破れ、羊水が出てくる)があったら(「前期破水」)、妊婦と胎児への感染症のリスクを避けるため、すぐに産科・産院へ。

・第1期(開口期)
 陣痛が始まってから子宮口が全開大(10センチ程度)になるまで。初産婦は経産婦より子宮口が開くまでに時間がかかることが多い。陣痛が10〜5分おきになると子宮口は0〜3センチ開き、5〜2分間隔になると7センチ、2〜1分間隔で9センチ開く。陣痛は間隔が短くなるにつれ、1回あたりの持続時間も10秒前後から1分〜1分30秒程度まで延びる。陣痛が強く、頻繁になるにつれ、子宮が収縮する力で胎児は外へ押し出され、子宮口が広がる。このときに破水が起こったら(「早期破水」)数時間後には分娩となるため、すぐに産科・産院へ。

・第2期(娩出期)
 子宮口が全開大になってから赤ちゃんが生まれるまで。胎児は産道(子宮頸管、腟、外陰部の一部)に合わせて体を回旋させながら、降りてくる。陣痛(子宮の収縮)といきみ(腹圧)の圧力によってさらに胎児が押し出され、頭が出たり引っ込んだりする(「排臨〈はいりん〉)が、頭が急に飛び出さないよう、医療者の指示に応じていきむのをやめ、力を抜いて短く浅い短促(たんそく)呼吸を行う。やがて赤ちゃんの頭が出たままになり(「発露〈はつろ〉)、肩まで出ると、するっと全身が母体の外に押し出される(「娩出〈べんしゅつ〉)。会陰(えいん)が十分伸びないうちに赤ちゃんが出てくるなどの場合、大きな裂傷になることを避けるため、会陰部を3センチほど切開することもある。赤ちゃんは産声を上げ、自分の肺で呼吸を始める。へその緒の切除を行う。

・第3期(後産期)
 赤ちゃんの誕生から胎盤が出るまで。赤ちゃんが出てから10〜30分すると、軽い収縮とともに胎盤が自然にはがれて出てくる(「後産(あとざん))。胎盤が出た後、通常は子宮が収縮して出血を止める。このときに痛み(「後陣痛(こうじんつう))を伴うことが多く、産後3〜4日頃まで後陣痛が起こることもある。250人に1人程度の割合で、子宮の収縮がうまくいかず大量に出血(「弛緩出血」)して母体の命が危険になるが、予測することは難しい。

・産褥期の過ごし方
 分娩後8週間(産褥〈さんじょく〉)は、母体を十分に休ませる。産後3〜6日から産褥期の終わりまで悪露(おろ)(子宮の内側や腟などから出る粘液、血液、分泌物)が排出され、分娩のために大きく伸びた子宮や腟、会陰もほぼ元通りの大きさに戻っていく。

「産後は少なくとも1週間ぐらいはできるだけ安静にした方がいいでしょう。分娩で出血しているので貧血になっている人が多いですし、子宮がまだ元通りになっていない時期に重い物の上げ下ろしをすると子宮が下がりやすくなって将来的に子宮下垂の原因にもなります。経産婦さんで上の子を抱っこするときは、座って抱っこしてあげるといいですね」(西先生)

・産後うつに気をつけて
 マタニティーブルー(出産後に起こるさまざまなうつ症状や不安神経症状)は、出産後2週間程度でおさまることが多いが、それ以上の長期にわたって精神的に不安定な状態が続くのであれば、産後うつが疑われる。産後うつは出産した母親の10人に1人はなると言われる。産後のホルモンの変動などが影響すると考えられるが、原因はまだ明らかになっていない。適切な治療が受けられず重症化すると自殺や育児放棄、虐待につながることもある。地域によっては産後2週間と1カ月の産婦健診で母親の精神状態を把握し、支援につなげる事業も展開されている。

「出産すると、うまくいかないことが次々と起こりますし、今の日本では赤ちゃんとふたりだけで家にいる状況になりがちですから、不安になるお母さんはとても多いんです。周囲がよく気をつけてあげることが必要ですし、お母さんも頼れる近親者や地域のネットワークを妊娠中からみつけておきましょう。どうしても気持ちがふさいでしまって頼る人もいないという場合は、数日間子どもを預かってくれる地域の福祉センターなどを活用して、心身を休めることもできます。乳児健診などでもお母さんの悩みを聞いてもらえる機会がありますし、出産した病院の助産師さんに相談するなど、自分ひとりでがんばらないようにしてくださいね」(西先生)

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イミダス編

いみだすへん

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