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性知識イミダス:男性特有の病気~男性生殖器が関わる泌尿器科系疾患について知ろう(基礎知識編)

イミダス編

(構成・文/加藤裕子)

特徴:ウイルス(主におたふく風邪の原因であるムンプスウイルス)感染や精巣上体炎によって精巣に炎症が起こり、陰嚢の強い痛みと腫れ、発熱、倦怠感が生じる。両側の精巣が精巣炎になったり、症状が長引いたりすると、精子形成障害を起こして男性不妊につながる可能性がある。精巣捻転症など他の病気と区別するために、自己診断せず、泌尿器科や感染症内科で診察を受けること。また、思春期以降におたふく風邪に感染した中で約20~30%が精巣炎になると言われており、思春期前におたふく風邪にかかっていなかったり、予防接種を受けていなかったりする成人男性は感染に注意する。

症状:思春期以降におたふく風邪にかかってから3~5日後に見られる、精巣の急な痛み、腫れ、発熱など。

治療:ムンプスウイルスが原因の場合は治療薬がないため、鎮痛剤や患部の冷却などの対症療法を行う。


精索静脈瘤

【こんな症状があったら要注意!】腟内に射精できているのにパートナーがなかなか妊娠しない

特徴:精巣の中にある静脈に血液が逆流したり流れが悪くなったりして、陰嚢の精索の中にある蔓状の静脈(蔓状静脈叢〈つるじょうじょうみゃくそう〉が腫れ上がり、静脈瘤を形成した状態。精索静脈瘤のほとんどは左側で生じる。精索静脈瘤があると精子をつくる機能が低下したり、精子のDNAが損傷したりするなど、男性不妊につながる可能性がある。そのため、不妊の相談がきっかけで見つかることが多い。
 10~15歳頃から増え始める。成人男性の約15%に見られ、男性不妊の約30~40%は精索静脈瘤が原因と言われる。手術により、半数以上に精液所見(精子の濃度や運動率)の改善が見られる。

症状:無症状であることが多いが、陰嚢や鼠径部の痛みや違和感が生じたり、陰嚢が膨らんで見えたりすることもある。症状が進むと、見た目や触ってわかるほど陰嚢の表面がでこぼこしてくる。

治療:痛みや違和感が強い場合や、不妊の原因となっている可能性がある場合は、血液が逆流してくる静脈を糸で縛って切る手術を行う。


精巣がん

【こんな症状があったら要注意!】20~30代で、痛みはないのに精巣が腫れたり硬くなったりする

特徴:精巣にできる腫瘍で、20~30代に多く、特に15~35歳の男性では最も多いがんだが、日本では10万人に1人の罹患率で稀ながんと言える。原因は不明だが、停留精巣や片側の精巣腫瘍の既往歴、家族歴などがリスク因子とされる。診断において腫瘍マーカーの役割は重要で、CTなどで転移の有無を確認する。
 病理組織の種類によって「セミノーマ精上皮腫。精巣がんのタイプの中で最も多く、35~50%を占める)」と、「非セミノーマ(精上皮腫以外の精巣がんの総称)」に大別できる。治療方針は、この病理組織の結果によって決定される。セミノーマは化学療法と放射線療法がともに有効だが、非セミノーマは化学療法は有効だが放射線療法は有効ではない。
 5年生存率は、ステージⅠで95~100%、ステージⅡで80~90%、ステージⅢでも70%と比較的良好。セミノーマより非セミノーマの方がやや予後が悪く、短期間で他の臓器に転移しやすいが、多くの場合、化学療法で治癒が期待できる。治療により男性不妊になる可能性がある場合は、治療前に精子を凍結保存することが検討される。

症状:初期はほとんど症状がなく、痛みはないのに精巣が腫れたり、硬くなったりすることがある。下腹部の重圧感、鈍痛を伴うこともある。精巣に触ると、ずしりとした重みを感じる。転移すると転移した部位に痛みなどの症状が生じる。がんが原因のホルモン異常により、乳首に痛みを感じたり、乳房がふくらんできたりすることもある。

治療:精巣と精索を摘出する手術を基本に、必要に応じて腹部リンパ節の切除を行い、放射線療法や化学療法を行う。転移がないステージⅠでは、手術のみで追加治療を行わないこともある。


持続勃起症(持続陰茎勃起症)

【こんな症状があったら要注意!】性的刺激・性的興奮と無関係である勃起が4時間を超えて持続する。

特徴:比較的稀な疾患で、50歳未満に多い。虚血性(静脈性)持続勃起症非虚血性(動脈性)持続勃起症に分類され、虚血性持続勃起症は、薬物(向精神病薬、降圧薬、勃起不全の治療薬など)や、血液がん(白血病や悪性リンパ腫)が原因であることが多い。特に血液がんによる虚血性持続勃起症は若年層に多いため、小児で痛みを伴う勃起が持続する場合は、血液がんの存在を疑う必要がある。また、虚血性持続勃起症の場合、経過が長くなると勃起機能が失われる可能性が高くなるため、 早急に治療を開始する必要がある。
 非虚血性持続勃起症は虚血性に比べて症状が軽く、その多くは会陰(えいん)部(外陰部と肛門の間の部分で、男性の場合、陰嚢の後ろから肛門までのこと)の打撲(外傷)後、しばらく時間が経過してから発症する。非虚血性持続勃起症と診断された場合には、治療を急ぐ必要はない。

症状:性的刺激・性的興奮と無関係である勃起が4時間を超えて持続する。虚血性持続勃起症では、強い痛みを伴う。

治療:虚血性持続勃起症では、早急に治療を開始する必要があり、陰茎内にたまっている血液の吸引、生理食塩水での洗浄、血管収縮薬の注入等の処置を行う。改善しなければ、血液の流出路(陰茎海綿体から血液が出ていく通り道)を確保する手術が必要となる。非虚血性持続勃起症は、患部の圧迫や冷却などの処置で経過を見ることが多いが、改善しない場合は、打撲(外傷)によって出血している陰茎内の動脈をふさぐ手術(塞栓〈そくせん〉術)を行うこともある。


LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)

【こんな症状があったら要注意!】中年以降で性欲や勃起力低下、うつ、認知機能の低下、ほてり、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力低下、不眠など

日本内分泌学会HP掲載の図をもとに、イミダス編集部作成

特徴:加齢に伴い、男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が低下して、心身の活力と性機能が損なわれ、QOL(Quality of Life、生活の質)に大きな影響を与える。いわゆる「男性更年期」とも呼ばれる。閉経(およそ50歳頃)前後10年とされる女性の更年期と異なり、はっきりと決まった時期はなく、40代以降の男性であればいつでも起こりうるが、30代にも見られることがある。男性ホルモンは筋肉が多い男性らしい体つきをつくるほか、性機能、認知機能、血管の健康にも影響している。このため、男性ホルモン分泌量の低下はうつや性欲・勃起力の低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、不眠など多様な症状を引き起こすほか、内臓脂肪の増加をもたらし、メタボリック症候群のリスクを高める。男性ホルモンの値は血液検査で調べることができ、AMSスコアと呼ばれる問診票と併用して診断される。

日本泌尿器科学会ほか『加齢男性性腺機能低下症候群 LOH症候群 診療の手引き』(2007年、じほう)をもとにイミダス編集部作成

症状:中年以降の性欲や勃起力の低下、うつ、認知機能の低下、全身けん怠感、いらいらする、不眠など。

治療:男性ホルモンの値があまり低下しておらず、症状が軽い場合は、生活習慣の改善を促し、補中益気湯などの漢方薬、勃起障害にはED治療薬、うつや不安症状には抗うつ剤、抗不安剤などを投与する対症療法を行う。男性ホルモンの値が低く症状が重い場合は、男性ホルモン補充療法(TRT:Testosterone Replacement Therapy)を行う。TRTで使用する薬剤には経口剤、注射剤、皮膚吸収剤などがあるが、このうち日本で保険適用となるのは注射剤のみで、症状が改善するまで2~4週おきに筋肉注射を行う。


前立腺肥大症

【こんな症状があったら要注意!】50代以降の尿のトラブル

特徴:前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、さまざまな尿トラブルをもたらす。原因は不明だが、男性ホルモンの低下などホルモンの変化が影響していると考えられており、50代以降の男性に多く見られる。症状が軽度で、あまり生活に支障がない場合は、予防的措置も含めて特に治療せず、経過観察を行う。

症状:排尿症状(尿の出が悪い、途中で尿が途切れるなど)、蓄尿症状(頻尿、切迫性尿失禁など)、排尿後症状(排尿後に尿が出るなど)が単独で、または重複してあらわれる。進行すると血尿や尿路感染、膀胱(ぼうこう)結石、腎機能障害を引き起こすこともある。

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イミダス編

いみだすへん

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