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連載

現役学生たちの声を聞いてみた ~今の若者は「お金」についてどう考えているのか?

第45回

大内裕和(武蔵大学教授)

(構成・文/イミダス編集部)

大内 なるほど、皆さんからすれば若者の貧困は「当たり前」という感じなんですね。むしろ「そうでなかったらおかしい」という。そして、このあかりさんの意見は重要。今の自分の周囲とは別の世界、別の状況があることを他者との比較や過去との比較で知ることは意義が大きいです。それを知らなければ、現在の自分の状況に疑いをもつことすらできないからです。

りりこ 私はお金がかからない、山奥での自給自足の生活にあこがれてます。食料はなるべく自分で作って、最低限の生活費だけを細々と稼いで。実際、そんな甘いものではないでしょうけど……。ただ、都会にいるうちは「生きづらさ」を感じない生活なんて、絶対無理だと思う。

ジャイン 私も、ライフスタイルとしては山奥の生活がいいと思う。

ちかぜ 私は、日々の生活をするだけで一杯いっぱいになってしまうのが、「生きづらさ」だと思う。反対に「幸せ」とはたとえば、自分の好きな本を1冊自由に買えることだと思う。今の社会状況だと、そんなささやかな「幸せ」さえも遠のいていく気がしてなりません。

大内 皆さんの話を聞いていると、お金がないことがそのまま「生きづらさ」につながるとか、お金があることで「生きづらさ」から必ず逃れられるという単純な話ではないような気がしてきました。むしろ、「お金に執着しなければならない」状況が「生きづらさ」を生んでいるのではないでしょうか。彼女たちが言うように、都会を離れた場所でのスローライフ的な生活も一つの方法でしょうけど、現代社会で生きる私たちにはなかなかハードルが高い。

 今の日本社会では、生きるのに必要なことのうち、特に「学ぶ」「住む」の2つにお金がかかり過ぎます。それは、教育費と住宅費の私費負担があまりにも重いから。そこを減らして、「学ぶ」「住む」にお金がかからなくなれば、「お金に執着しなければならない」という状況は大きく変わり、「生きづらさ」もかなり緩和されるのではないでしょうか? 私は奨学金制度の改善や学費の引き下げなど、これまで「学ぶ」にかかるお金を安くすることを訴えてきました。これからは「住む」にかかるお金を安くして、若者の「生きづらさ」を少しでも和らげられるよう取り組んでいきたいと考えます。今回の討論に参加してくれた皆さん、どうもありがとうございました。

 

著者情報

武蔵大学教授

大内裕和

おおうち ひろかず

1967年、神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。松山大学教授、中京大学教授を経て2022年度より現職。「入試改革を考える会」代表。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。著書に「ブラックバイトに騙されるな」(集英社)、「教育・権力・社会」(青土社)、「ブラック化する教育 2014-2018」(青土社)などがある。

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